Advantage HD Polymerase Mixは、極めて高い正確性とTaq DNAポリメラーゼに優る反応性を提供するPCR酵素である。添付の最適化した反応バッファーを用いることで、非常に高い正確性に加え、高い感度と反応特異性が得られ、遺伝子のクローニングやライブラリー構築のためのcDNA増幅、部位特異的変異導入、ジェノタイピングなど正確性が要求されるアプリケーションに非常に有用である。さらに、ClontechのIn-Fusion PCRクローニングにも本酵素の使用を推奨する(1、2)。
傑出した正確性
Advantage HDの傑出した正確性は本酵素のもつ強力な3’-5’エキソヌクレアーゼ活性によりもたらされ、増幅産物250,000塩基を実際にシーケンスしてエラーはわずか12塩基という極めて低いエラー率を実現する。この高度な正確性は一般に利用される数多くのPCR酵素の中でも傑出している(図1)(3)。 なお、本酵素の増幅産物は、強力な3’-5’エキソヌクレアーゼ活性により平滑末端になる。
図1. Advantage HD DNA Polymeraseの傑出した正確性
GCリッチで変異が入りやすいThermus thermophilus HB8のゲノムDNAを鋳型として、Advantage HDおよび他のポリメラーゼによるPCRを行った。複数の領域をターゲットとしたPCR産物(増幅サイズは約500 bp)をそれぞれプラスミドにクローニングし、各ターゲットについて複数クローンを選択し、シーケンス解析を行ってエラー率を求めた。(例えば、1塩基のエラー/100,000 bpの場合、0.001%) 高い反応特異性
Advantage HDは高いプライミング効率を有するため、アニーリング時間を短時間に設定することで高い反応特異性が得られる。また、本酵素は抗体を用いるホットスタートタイプのPCR酵素であり、反応液の室温調製を行っても、調製時のミスプライミングなどによる非特異的増幅は起こらない。
安定した増幅性
Advantage HDは汎用性の高いPCR酵素で、さまざまな反応条件下で働くだけでなく、一定のサイクル条件でサイズの異なる増幅産物を増幅することもできる(図2)(3)。また、本酵素はGCリッチあるいは複雑度の高い鋳型からの増幅にもよく対応し、ヒトゲノムDNAを鋳型として8.5 kbまで、大腸菌ゲノムDNAを鋳型として10 kbまで、λDNAの場合は22 kbまでの増幅が可能である。
図2. Advantage HDを用いて一定のPCR条件でサイズの異なるターゲットを増幅した例
1~3 μlのPCR産物を1%アガロース/EtBrゲルで電気泳動した。
レーン1~6:100 ngの仔ウシ胸腺ゲノムDNAを鋳型に、ウシ膵臓トリプシンインヒビター(BPTI)遺伝子の各サイズを増幅。 レーン1:500 bp レーン2:900 bp レーン3:1,500 bp レーン4:2,000 bp レーン5:2,500 bp レーン6:3,500 bp
レーン7:100 ngのヒトゲノムDNAを鋳型に414 bpのc-jun断片を増幅
レーン8:1 ngのλgt10ライセートを鋳型に約3,000 bpを増幅
レーンM:λ-Hind III digestとφX174-Hae III digestの1:1混合物 内容
・Advantage HD Polymerase
・5× Advantage HD Buffer (contains 5 mM MgCl2)
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