製品説明
本酵素は、鋳型、プライマー(DNAおよびRNAともに可)存在下でdNTPを基質とし、鋳型に相補的なDNAを5’→3’方向に合成する。本酵素は、E. coli DNA polymeraseIの構造遺伝子pol Aの開始コドンから下流約1,000 bpまでを欠失させたものをクローニングした大腸菌より精製している。そのため、3’→5’ exonuclease活性は含まれるが、5’→3’ exonuclease活性は全く含まれない。
また製品コード 2140AK/BKの製品は、Kilo-Sequencing用Deletion Kit (製品コード 6030)用に濃度調製したもので、形状組成の一部をグリセロールからエチレングリコールに変えています。
保存
-20℃
濃度
5 U/μl(製品コード 2140A、2140B)
2 U/μl(製品コード 2140AK、2140BK)
形状
(製品コード 2140A、2140B)
リン酸カリウム緩衝液(pH6.5) | 50 mM |
DTT | 1 mM |
グリセロール | 50% |
(製品コード 2140AK、2140BK)
リン酸カリウム緩衝液(pH6.5) | 50 mM |
DTT | 1 mM |
エチレングリコール | 50% |
添付Buffer組成(10×)
(製品コード 2140A、2140B)
100 mM | Tris-HCl(pH 7.5) |
70 mM | MgCl2 |
1 mM | DTT |
注意
製品コード 2140AK、2140BKには反応用バッファーは添付されていない。
活性の定義
Poly d(A-T)合成DNAを鋳型/プライマーとして用い、37℃、pH7.4において、30分間に10 nmolの全ヌクレオチドを酸不溶性沈殿物に取り込む酵素活性を1 Uとする。
活性測定用反応液組成
67 mM | リン酸カリウム緩衝液(pH7.4) |
6.7 mM | MgCl2 |
0.1 mM | DTT |
20 μM | 鋳型DNA |
33 μM | dATP |
33 μM | [3H]dTTP |
品質管理データ
使用上の注意
- 希釈による失活はないが、強く撹拌すると失活することがある。
- 5’→3’exonuclease活性が含まれないため、ニックトランスレーション活性を示さない。
- DNA Polymerase I と同じく、ddNTPを阻害されることなく取り込む。
- T4 DNA Polymeraseに比べて、鋳型DNAの高次構造に対しても抵抗性が高い。
- DNAに対する親和性が強く、過剰に用いるとaggregationが起こり、反応が阻害されることがある。
- 5’-突出末端の修飾に用いると、filling後に1塩基余分に付加する場合がある。6)
用途
- dideoxy法によるシーケンシング(Sanger法)3)
この用途には特に製品コード 2140AK, 2140BKが適している。
- 二本鎖DNA末端の平滑化4)
- Oligonucleotide directed mutagenesisにおける二本鎖DNA合成5)
- random primerを用いたDNA標識
起源
Escherichia coli carrying the plasmid which encodes the gene of Klenow fragment
触媒する反応
1.5'→3'DNA polymerase活性
鋳型、プライマー(DNA、RNA共に可)存在下でdNTPを基質とし、鋳型に相補的なDNAを5'→3'方向に合成する。
ddNTPによる拮抗阻害がかかりにくいのでM13 dideoxy法によるシーケンシングに用いられる。
2.一本鎖特異的3'→5' exonuclease活性
Klenowの3'→5'exonuclease活性は比較的弱い(T4 polの100~1000分の1)ので3'突出末端の平滑化には適さない。
一般的性質
- 分子量
68,000
- サブユニット
1分子中にZn2+を1分子含む一本鎖単純ポリペプチド
- 至適pH
pH7.4
- 補因子
Mg 2+
- 安定性
vortex等の撹拌により失活する(ピペッティングにより混合すること)