製品説明
本酵素は二本鎖DNAの3’-OH末端から5’-モノヌクレオチドを遊離させる3’→5’exonucleaseである。
本酵素の二本鎖DNAに対する特異性はきわめて高く、blunt end、3’-recessed end、さらにnicking siteからの分解は起こるが、3’-protruding endは分解できない(使用上の注意参照)。したがって、異なる末端形状を与える制限酵素でdouble digestionすることにより、一方向からの分解が可能である。
最終生成物は一本鎖相補DNAと5’-P mononucleotideである。
本酵素の塩基特異性はBAL 31 nucleaseに比べて低く3)、例えばGC rich siteで反応が停止する頻度は低いので、DNAのデリーション作製に向く。
保存
-20℃
6ヵ月以上の長期保存の場合には-80℃凍結保存
濃度
200 U/μl
形状
25 mM | Tris-HCl(pH8.0) |
50 mM | KCl |
0.5 mM | DTT |
50% | グリセロール |
添付Buffer組成(10×)
500 mM | Tris-HCl(pH8.0) |
50 mM | MgCl2 |
10 mM | DTT |
活性の定義
制限酵素処理仔牛胸腺DNAを基質として用い、37℃、pH8.0において30分間に1 nmolの酸可溶性分解物を生成する酵素活性を1 Uとする。
活性測定用反応液組成
50 mM | Tris-HCl(pH8.0) |
5 mM | MgCl2 |
1 mM | DTT |
300 μM | 基質DNA |
品質管理データ
使用上の注意
- 酵素の性質上DNA末端が3’-突出であってもその末端の形状および配列によっては基質として消化する場合がある。
- 消化されることを確認した制限酵素切断末端の例
- 1 塩基突出型(Eam1105 I 等)
- 2 塩基突出型(Pvu I 、Sac II 等)
- 3 塩基突出型(Sfi I 等)
- 4 塩基突出型(Apa I 切断末端は消化されることを確認している。また、Ban II およびBstX I も配列によっては消化される可能性がある。)
用途
- 二本鎖DNAフラグメントの部分分解による、DNA Polymeraseの基質となる一部一本鎖DNAの生成(生成したDNAはdideoxy法によるシーケンシングに用いられる3, 4))
- 一本鎖特異的nuclease(S1あるいはMung Bean Nuclease)との併用によるDNAフラグメントの欠失の作製3)
本酵素は二本鎖構造に厳密な特異性を持つので、二重分解フラグメント(例:EcoR I -Pst I フラグメント)に対しては、一方(例:EcoR I 側)からのみ欠失の作製が可能となる4)
- DNA-タンパク質の相互作用の解析5)
起源
Escherichia coli BE 257/pSGR 3(B. Weiss博士より供与)
一般的性質
- 分子量
28,000
- サブユニット
シングルポリペプチド
- 至適pH
pH8.0(Tris-HCl緩衝液)
- 補因子
Mg2+またはMn2+を要求する(至適濃度:5 mM)
- 阻害剤
EDTA、Zn2+(>90% at 10-4 M)、PCMB(50~90% at 10-4 M)