製品説明
BacPAK Baculovirus Expression Systemを用いることで、昆虫宿主細胞を使用して極めて高レベル(培地中のタンパク質濃度; 1~500 mg/L)の組換えタンパク質発現が可能である(1、2)。BacPAKシステムの主な利点は以下の3つである。
● | 高収量で組換えタンパク質を産生
大量の目的タンパク質が昆虫宿主細胞によって産生される。 |
● | 天然に存在するタンパク質との極めて高い類似性
昆虫宿主細胞では哺乳類細胞と同様に翻訳後プロセッシングが行われるので、発現したタンパク質の構造、生物活性、免疫学的反応性などは、通常、天然に存在するタンパク質と同等である。 |
● | 高い組換え効率
トランスフェクトした細胞が産生するバキュロウイルスの90%以上には、目的タンパク質の遺伝子が含まれている。特別にデザインしたBacPAK6ウイルスDNA(図1)によって、ウイルスDNAとトランスファーベクター間の組換えが効率よく生じるため、高い組換え効率が得られる。 |
BacPAK法
目的遺伝子配列をトランスファーベクターに挿入して、直鎖状にしたBacPAK6バキュロウイルスゲノムDNAと共に宿主の昆虫細胞にコトランスフェクトする。BacPAK6 DNAは、バキュロウイルスゲノムとして必須な一部領域を欠失している。このBacPAK6 DNAとトランスファーベクター間でDNA組換えが生じると、必須因子の回復と目的遺伝子のバキュロウイルスゲノムへの移動が起こる。組換え後に数個のウイルスプラークをピックアップして精製し、組換え形質を示すことを確認する。単離した組換えウイルスを増幅して昆虫細胞に感染させれば、目的タンパク質を大量に産生できる。
BacPAK Baculovirus Expression Systemには、トランスファーベクター、BacPAK6 Viral DNA、組換えタンパク質産生に必要な昆虫宿主細胞、トランスフェクション用のBacfectin Transfection Reagentが含まれている。また、シーケンシング/PCR用プライマーも添付されている。さらにClontechでは、バキュロウイルスの力価を短時間で測定するためのBacPAK Rapid Titer Kit(製品コード 631406)や、BacPAK qPCR Titration Kit(製品コード 631414) を用意している。BacPAK6 Viral DNA(製品コード 631401)とIPLB-Sf21 Insect Cells(製品コード 631411)は単品でも販売している。
図1. BacPAK6 Viral DNAのマップ
図2. BacPAK Baculovirus Expression Systemで作製した組換えウイルスによるタンパク質の産生
トランスファーベクターとBacPAK6 Viral DNA(Bsu36 I消化)をコトランスフェクトして組換えバキュロウイルスを作製し、Sf21細胞中で増殖させた。SDS-PAGEは、Sf21培養細胞感染後48時間で行った。
レーン1:未感染Sf21細胞
レーン2:野生型AcMNPVウイルス感染Sf21細胞
レーン3:非組換えBacPAK6ウイルス感染Sf21細胞
レーン4:BacPAK8-GUS組換えウイルス感染Sf21細胞
レーン5:精製CATタンパク質
レーン6:BacPAK9-CAT組換えウイルス感染Sf21細胞
レーンM:分子量マーカー 内容
BacPAK Baculovirus Expression System
(製品コード 631402)
・pBacPAK8 Transfer Vector
・pBacPAK9 Transfer Vector
・BacPAK6 Viral DNA (
Bsu36 I digest)
・Bacfectin Transfection Reagent
・IPLB-Sf21
Spodoptera frugiperda Cells
・Bac1 Sequencing/PCR Primer
・Bac2 Sequencing/PCR Primer
・pBacPAK8-GUS Positive Control Transfer Vector
※ Lot No. 9070802Bから、BacPAK6 Virus Stock (positive control)とAcMNPV Wild-Type Virus (negative control)の添付がなくなりました。
保存
#631402
IPLB-Sf21 insect host cells:液体窒素*
Bacfectin Transfection Reagent:4℃
BacPAK6 Viral DNA:4℃
その他のコンポーネント:-20℃
* 到着後、ただちに液体窒素中で保存してください。
液体窒素保存ができない場合は、ただちに細胞を融解し、培養を行ってください。