pTRE-Tightベクターは、最適化されたテトラサイクリン応答配列(TRE
mod)を有するプロモーター
PTightを搭載した応答発現プラスミドである(図1)。
PTightは基底発現が極めて低く、高い最大誘導を実現する。最高の結果を得るためには、Tet-On AdvancedあるいはTet-Off Advanced調節因子を発現する細胞に、pTRE-TightとLinear Selection Markerの1つをコトランスフェクションする。
テトラサイクリン誘導性の細胞株または発現システムと共に使用する。
図1. pTRE-Tight応答発現 ベクターマップ pTRE-Tight Vectorは、最初にGossenとBujardが哺乳類の誘導発現系として報告し、後にTet Systemで使用するように設計された。目的遺伝子をpTRE-Tight Vectorにクローニングすれば、テトラサイクリン(Tet)非存在下でTet制御性トランス活性化因子(tTA-Advanced)により活性化されるTet-Off型、またはTet存在下でrtTA-Advancedにより活性化されるTet-On型のTet応答性コンストラクトを作製できる。広範な濃度のTetに応答する遺伝子発現を厳密に制御することが可能である。これらの応答ベクターは、確実に遺伝子のバックグラウンド発現を最小限に維持することができるので、腫瘍抑制因子やアポトーシス性タンパク質など極めて強力なタンパク質や宿主細胞に対して毒性のあるタンパク質の誘導性発現にも非常に有用である。
図2および表1に、pTRE-Tight Vectorによる厳密な遺伝子調節の例を示す。pTRE-Tight-Lucコンストラクトを用いた場合に非誘導状態でのバックグラウンドが極めて低いことが、明確に示されている。
図2. バックグラウンドの発現がさらに低くなったpTRE-Tight-Lucベクター
pTRE2-Luc Vector(パネルA)またはpTRE-Tight-Luc Vector(パネルB)をトランスフェクトしたTet-On U-2 OS細胞(製品コード 630919)は、ドキシサイクリン(Dox)存在下でルシフェラーゼ(矢印)を発現する。pTRE-Tight-Luc VectorではDox非存在下で検出可能な基礎発現は認められない(パネルB、レーン1)。ライセートは12%ポリアクリルアミドゲルで泳動してウェスタンブロットし、1:2,000に希釈したポリクローナル抗ルシフェラーゼ抗体を用いて検出した。なお、本抗体は非特異的なタンパク質(下側のバンド)も検出した。
Dox濃度:レーン1:0 ng/ml レーン2:1 ng/ml レーン3:10 ng/ml レーン4:100 ng/ml レーン5:1000 ng/ml レーン6:2000 ng/ml
表1. 全誘導率の比較 |
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pTRE2-Luc*2 |
pTRE-Tight-Luc*2 |
Tet-On U-2 OS 細胞 |
基礎活性(-Dox) |
44 RLU*1 |
1.1 RLU |
最大活性(+Dox) |
7,223 RLU |
7,836 RLU |
誘導倍率 |
>160 倍 |
>7,100 倍 |
Tet-On HEK 293 細胞 |
基礎活性(-Dox) |
786 RLU |
8.2 RLU |
最大活性(+Dox) |
423,600 RLU |
569,840 RLU |
誘導倍率 |
>500 倍 |
>60,000 倍 |
*1 相対光度単位
*2 一過性トランスフェクション