製品説明
NucleoSpin Inhibitor Removalは、PCR阻害物質が混入したDNAサンプルから阻害物質や色素成分を除去し、クリーンアップしたDNAを回収するためのスピンカラムタイプのキットである。
土壌、血液、果物、お茶などの材料から、フェノール抽出法や自家調製試薬での抽出など、最適化されていないプロトコールでDNAを精製した場合、しばしばフミン酸、ポリフェノール、ヘム、タンニンなどのPCR阻害物質が混入することがある。このようなDNAサンプルを鋳型としてPCRを行うと、増幅反応が阻害され、増幅産物が得られない場合や定量PCRの場合には測定値が過小評価された解析結果をもたらすことがある。検査などに使用すると偽陰性などが生じることもある。
NucleoSpin Inhibitor Removalでは様々なサンプル由来のPCR阻害物質に対応できるよう2種類の精製プロトコールが用意されており、迅速かつ効率よく阻害物質を除去した高品質のDNAを回収することが可能である。
原理 | シリカメンブレン法 |
形状 | ミニスピンカラム |
サンプル | PCR阻害物質が混入したDNAサンプル |
サンプル量 | ≦100 μl |
精製サイズ | 200 bp~約50 kb |
回収率 | >75% |
溶出液量 | 50~100 μl |
精製時間 | 15分/6サンプル |
結合容量 | 60 μg |
図1. PCR増幅効率の改善
PCR増幅が完全に阻害されるDNAサンプル(Non-treated)をNucleoSpin Inhibitor Removal(MN)および他社製品(Z, Q)でクリーンアップ後、それぞれ等量の精製DNAを使用してPCRを行った。
他社製品を用いて精製したDNAでは、PCR反応は完全に阻害されたままだったが、NucleoSpin Inhibitor Removalで精製後のDNAでは効率的な増幅が見られた。
図2. 優れたDNA回収効率
NucleoSpin Inhibitor Removal(MN)または他社製品(Z, Q)を用いてDNAサンプル(Input)の精製を行い、回収率を比較した。 NucleoSpin Inhibitor Removalを用いて得られる精製DNAの回収率は他社製品に比べて優れていた。
Heme contaminated samples
Kit | Input | MN | Z |
A260/280 | 0.9 | 1.7 | 1.6 |
A260/230 | 0.5 | 1.8 | 0.7 |
Humic acid contaminated samples
Kit | Input | MN | Z |
A260/280 | 1.2 | 1.6 | 1.3 |
A260/230 | 0.5 | 1.2 | 0.8 |
Polyphenol contaminated samples
Kit | Input | MN | Z |
A260/280 | 1.1 | 1.7 | 1.4 |
A260/230 | 0.4 | 2.3 | 0.5 |
図3. 様々なPCR阻害物質を含むサンプルに対応
PCR阻害物質であるヘム、フミン酸、ポリフェノールをそれぞれ含むDNAサンプル(Input)を、NucleoSpin Inhibitor Removal(MN)または他社製品(Z)を用いてクリーンアップし、精製後のDNAの吸光度を測定し、阻害物質の除去の様子を比較した。NucleoSpin Inhibitor Removalは、すべてのサンプルにおいて精製前のDNAサンプルはもちろん、他社製品を用いて精製後のDNAと比較してもA260/A280、A260/230の値において良好な結果を示しており、阻害物質が除去できていることが示された。
内容
- NucleoSpin Inhibitor Removal Column
- Binding Buffer IR1
- Additive IRX
- Wash Buffer IRW
- Elution Buffer BE
- Collection Tubes (2 ml)
- Collection Tubes (1.5 ml)
保存
室温
本製品以外に必要な試薬、機器(主なもの)
96~100% エタノール
器具
・ピペット
・高速遠心機
・ボルテックスミキサー
操作手順
用途
・DNAサンプルに混入しているPCR阻害物質や色素成分の除去