製品説明
PCR、qPCRまたはNGSによる遺伝子検査は、家畜やペット動物の病原体の検出、同定のために一般的に実施されるようになりました。遺伝子検査により迅速で特異的かつ高感度な感染症の診断が可能になったものの、各種検体からの効率的な病原体核酸の抽出・精製が課題となっています。
NucleoSpin VETは、血清、血漿、無細胞生体液、全血、組織、スワブ、乳汁および糞便などの様々な家畜サンプルからウイルスRNA/DNAおよび細菌DNAを精製するためのシングルスピンカラムタイプのキットです。
サンプルの種類に応じた前処理を行った後は、同一の標準プロトコールを用いて核酸精製が可能であり、NucleoSpin VETを使用することで多様な動物試料から簡便に核酸を精製することができます。
また、サンプルが血清、血漿、スワブの場合には、より操作簡便で迅速化したFastTrackプロトコールが用意されており、多検体のルーチン検査に最適です。
原理 | シリカメンブレン法 |
形状 | ミニスピンカラム |
操作 | 手動 |
サンプル量 | 血清、血漿、無細胞生体液:200 μl |
血液:100 μl |
組織:5~10 mg |
糞便:~100 mg |
スワブ(乾燥、湿潤とも可)
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精製サイズ | 100 bp~50 kb |
溶出液量 | 40~100 µl |
精製時間 | 20~40分 |
結合容量 | 25 μg |
図1.ウシ全血からのウイルスDNA/RNA精製
ウシ全血(EDTA血)にランピースキン病ウイルス(LSDV:DNAウイルス)、ウシコロナウイルス(BoCoV:RNAウイルス)および口蹄疫ウイルス(FMDV:RNA ウイルス)を様々な濃度でスパイクしたサンプルから、本製品の標準プロトコールに従ってウイルスRNA/DNAを精製しました。各精製物を鋳型としてRT-qPCRを行い、ウイルスRNA/DNAを検出しました。
本製品は、高タイターから低タイターまでウイルスを含む試料から、一貫して信頼性の高いウイルスRNA/DNAの回収が可能でした(FMDVの1:10,000希釈液をスパイクしたサンプルは検出限界以下)。
図2.NucleoMag VETとの比較
各種FMDV(口蹄疫ウイルス)陽性サンプルから、本製品の標準プロトコールに従ってウイルスRNAを精製しました。並行して、同じサンプルからNucleoMag VET(自動化装置を使用)でもウイルスRNAの精製を実施し、各精製物を鋳型としてRT-qPCRを行ってCt値を比較しました。
その結果、非常に脂肪分の多い牛乳(Milk)や皮膚病変(Lesion)などの比較的核酸精製が困難なサンプルからでも、両製品ともに良好にウイルスRNAが精製できていることが示されました。
内容
Lysis Buffer SVL
Wash Buffer SVW1
Wash Buffer SVW2 (Concentrate)
RNase-free H2O
Carrier RNA (凍結乾燥品)
Liquid Proteinase K
NucleoSpin VET Columns
Collection Tube (2 ml)
Collection Tube (1.5 ml)
保存
室温(Liquid Proteinase Kは初回使用後4℃または-20℃保存を推奨)
本製品以外に必要な試薬・器具・機器
【試薬】
- 96~100%エタノール
- PBS(血液、組織、スワブ、糞便サンプルの場合)
- ピペットチップ
- ピペット
- 微量高速遠心器
- ヒートブロック
- MN Bead Tubes Type D(製品コード 740814.50)(組織サンプルの場合)
- Neutralization Buffer PFN(製品コード 740121.5)(NucleoProtect VETで保存したサンプルの場合)
用途
動物・家畜サンプルからのウイルスRNA、DNAやバクテリアDNAの抽出
操作手順(標準プロトコールの場合)
NucleoSpinおよびNucleoProtectはマッハライ・ナーゲル社の登録商標です。