TALON Magnetic Beadsは、ポリヒスチジンタグ(Hisタグ)融合タンパク質に対する高い親和性と特異性をもつTALON樹脂の利点と磁気ビーズによる簡便な分離法を組み合わせた製品である。磁気ビーズは予めコバルトで荷電されており、Hisタグ融合タンパク質に対してニッケルベースの樹脂より高い特異性を有している。コバルトはTALON独自の四座配位の金属キレーターによりビーズと結合しており、精製中にコバルトが漏出することはない。磁気セパレーターにセットするだけで、マイクロスケールのタンパク質を迅速かつ簡便に分離できる。
高度に特異的な結合と溶出
図1および表1に示した通り、TALON Magnetic Beadsは低分子から高分子までのHisタグ融合タンパク質と高い特異性で結合する。精製タンパク質は小容量(50~200 μl)で溶出され、濃縮試料が得られる(最高 3 mg/mlまで)。TALON Magnetic Beadsは5%懸濁液として提供されており、懸濁液1 ml当たりタンパク質750 μgの結合能が実証されている。
図1. TALON Magnetic Beadsを用いたHisタグ融合タンパク質の精製
Hisタグ融合タンパク質を大腸菌BL21株に発現させ、TALON Extractor Buffer(製品コード 635623)中で抽出した。続いて、200 μlのTALON Magnetic Beads懸濁液を水で洗浄して保存バッファーを除去し、ローディングバッファー(50 mMリン酸ナトリウム、0.3 M NaCl、pH7.2)で平衡化した。抽出液とTALON Magnetic Beadsを室温で30分間(6xHN-AcGFP)、または4℃で60分間(6xHN-LacZ)混和した。ビーズをローディングバッファーで洗浄し、続いて10 mMイミダゾールを添加したローディングバッファーで洗浄した後、250 mMイミダゾールを添加したローディングバッファーを用いてタンパク質を溶出した。
パネルA:TALON Magnetic Beadsによる6xHN-AcGFP精製物のSDS-PAGE分析(4~20%勾配ゲル)。レーン1:E. coli抽出液 レーン2:非吸着画分 レーン3:溶出画分
パネルB:TALON Magnetic Beadsによる6xHN-LacZ精製物のSDS-PAGE分析(4~20%勾配ゲル)。レーン1:E. coli抽出液 レーン2:非吸着画分 レーン3:溶出画分 レーンM:分子量マーカー
SDS-PAGEの結果はどちらのHisタグ融合タンパク質も高度に精製されたことを示している。
表1. TALON Magnetic Beadsを用いたHisタグ融合タンパク質の精製結果
*1:Relative Fluorescence Units (RFU) for 6xHNAcGFP.
*2:200 μl of a 5% suspension of TALON Magnetic Beads was used for each purification.
図2.1.5 mlのマイクロ遠心チューブ用のMagnetic Stand(製品コード 631964)
磁気ビーズと共に、タンパク質精製、免疫沈降、および細胞回収実験に使用できる。