製品説明
NucleoSnap Plasmid Midiは、50 mlまでの標準的な大腸菌培養液から高純度のプラスミドを迅速に取得できるようにデザインされている。本キットで精製したプラスミドDNAは、制限酵素切断、クローニング、シーケンス、PCR増幅、形質転換、トランスフェクションなど幅広い実験に使用できる。
原理 | シリカメンブレン法 |
形状 | NucleoSnapカラム |
操作 | 吸引法(溶出は遠心法) |
推奨する大腸菌培養液量 | ≦50 ml(OD600=5) |
プラスミドDNAサイズ | ≦25 kb |
回収量 | ~700 μg(50 ml培養液、OD600=4、高コピー) |
A260/280 | 1.8~1.9 |
エンドトキシンレベル | <50 EU/μg DNA |
溶出液量 | 200~500 μl |
精製時間 | 30分 |
結合容量 | 1.5 mg |
操作手順
遠心操作により回収した菌体をResuspension Bufferで懸濁し、アルカリ-SDSを含むLysis Bufferを加えて溶解後、Neutralization Bufferを加えて中和する(ステップ1、2)。NucleoSpin Plasmid Filter Columnで中和された菌体溶解液を遠心ろ過し、プラスミドDNAを含むろ液を得る(3)。ろ液にPrecipitation Bufferを加えて混合し、NucleoSnap Plasmid Midi Columnにロードし、吸引操作でカラムに通す(4、5)。Endotoxin Removal Bufferでカラムを洗浄してエンドトキシンを除去し、続いてエタノールを含むWash Bufferで洗浄する(6)。NucleoSnap Plasmid Midi Columnを折って上部を除いた後、下部のカラム部分を2 mlチューブにセットして遠心によりエタノールを除去して乾燥させる(7)。Elution Bufferを加えて遠心によりプラスミドDNAを溶出する(8)。
NucleoSnapカラム
大容量の試料をカラムにロードし、吸引システムでカラムにDNAを吸着後、上部を分離して、微量遠心機でエッペンチューブに精製DNAを回収できる。
本製品を使用する際には、吸引法を用いて精製を行うため、NucleoVac 24 Vacuum Manifold(製品コード 740299)などの吸引システムが必要である。
NucleoVac 24 Vacuum Manifold
NucleoVac 24 Vacuum Manifoldはシリカカラム(NucleoSnapカラム, NucleoSpinカラムなど)を用いて吸引法で核酸精製を行う際に使用する装置である。同時に24個のシリカカラムをVacuum Manifoldの上部のスロットに装着し、結合、洗浄、ステップを吸引法で簡便、迅速に行うことができる。
マニホールドベースとNucleoVac Mini Adapter、ルアープラグ、チューブ接続用コネクタなどで構成されている。
内容
・Resuspension Buffer SN1
・Lysis Buffer SN2
・Neutralization Buffer SN3
・Precipitation Buffer SN4
・Endotoxin Removal Buffer SN5
・Wash Buffer SN6(Concentrate)
・Elution Buffer SNE
・RNase A(凍結乾燥品)
・NucleoSpin Plasmid Filter Columns
・NucleoSnap Plasmid Columns
・Collection Tubes (2 ml)
保存
室温
(RNase Aを添加したBuffer SN1は4℃で保存する。6ヵ月間安定)
※Buffer SN2にはSDSが含まれているため、20℃以下で保存すると、沈殿が生じることがある。
沈殿が生じた場合は、30~40℃で数分間、ボトルを保温し、混合して溶解した後に使用する。
本製品以外に必要な試薬、機器(主なもの)
- 試薬
- ・96~100%エタノール
- 器具
- ・Vacuum Manifold[NucleoVac 24 Vacuum Manifold(製品コード 740299)など]
・Vacuum pump(-0.3 barで使用可能なもの)
・微量高速遠心機
・遠心機(50 mlチューブの遠心が可能なもの)
図1. エンドトキシンレベルの比較
NucleoSpin Plasmid(製品コード 740588.10など)、NucleoSnap Plasmid Midi、NucleoBond Endotoxin-free製品(NucleoBond Xtra Midi EF(740420.10)など)で精製したプラスミドについて、LAL試薬による比色定量法により、混入エンドトキシンレベルを調べた。その結果、エンドトキシンレベルはプラスミド精製の手法により大きく異なっていた。NucleoSnap Plasmid Midiで精製したプラスミドのエンドトキシンレベルは低く、一般的な細胞のトランスフェクションに使用可能なレベルであった。
図2. 細胞生存率の比較
精製原理が異なる3種類のキットで調製したGFP発現プラスミド各2.5 µgを用いてヒト肝癌由来のHuh7細胞へのトランスフェクションを行い、細胞の生存率への影響を調べた。使用したプラスミドDNAは、標準的なシリカメンブレン法(NucleoSpin Plasmid(製品コード 740588.10)など)、NucleoSnap Plasmid Midi、陰イオン交換法(NucleoBond EF(NucleoBond Xtra Midi EF(740420.10)など)で精製した。
NucleoSnap Plasma Midiで精製したプラスミドを使用した場合、良好な生存率を示した。
NucleoSnapはマッハライ・ナーゲル社の登録商標です。