製品説明
動物の各器官は、さまざまな種類の細胞や細胞外基質を含む多様性のある組織より成り立っているため、器官からのゲノムDNA精製は困難を伴う作業となる場合が多い。組織に含まれるコラーゲンやプロテオグリカンなどの高分子物質は、器官の溶解を阻害するだけでなく、精製DNAに混入した場合、PCR増幅などの酵素反応にも影響を与える。
NucleoSpin DNA RapidLyseは、器官や細胞から高効率でゲノムDNAを抽出・精製するためのキットである。独自の溶解バッファーの採用により、1時間の溶解反応だけでさまざまな組織や細胞に対応することができ、迅速かつ効率のよい抽出・精製を可能としている。
原理 |
シリカメンブレン法 |
形状 |
ミニスピンカラム |
サンプル由来 |
新鮮、凍結、乾燥、エタノール保存組織 真核培養細胞 動物尾、耳 |
サンプル量 |
~40 mg 新鮮組織、 ~106個 培養細胞 |
回収量 |
~4 μg DNA/mg 組織 |
A260/280 |
1.7~1.9 |
溶出液量 |
60~100 μl |
溶解時間 |
~60分 |
精製時間 |
25分(溶解後) |
結合容量 |
60 μg |
操作手順
図1.溶解ステップを含む作業時間の比較
組織溶解を含む標準的な作業時間を本キット(MN)と、S社とQ社競合製品と比較した。本キットは最も短い作業時間でゲノムDNAの精製が可能である。
MN:NucleoSpin DNA RapidLyse
S:S社競合製品
Q:Q社競合製品
(MN社比較データ)
図2.さまざまな組織試料からのDNA回収量の比較
本製品(MN)、S社製品、Q社製品を使用して各組織試料からゲノムDNAを精製し、得られた精製DNA溶液のうち同容量をアガロースゲル電気泳動に供して収量、精製度を比較した。精製作業中の試料の溶解はすべて1時間で行った。
NucleoSpin DNA RapidLyseを用いた精製では、収量が最もよく、精製DNAも分解が少なく高品質であった。
MN:NucleoSpin DNA RapidLyse
S:S社競合製品
Q:Q社競合製品
(MN社比較データ)
内容
・Lysis Buffer RLY
・Binding Buffer RLB
・Wash Buffer RLW (Concentrate)
・Elution Buffer RLE*
・Liquid Proteinase K
・NucleoSpin DNA RapidLyse Columns
・Collection Tubes (2 ml)
* 組成:5 mM Tris-HCl, pH8.5
保存
室温
(Liquid Proteinase K:開封後は4℃または-20℃保存)
本製品以外に必要な試薬、機器(主なもの)
試薬
・96~100%エタノール
器具
・2 mlマイクロチューブ
・1.5 mlマイクロチューブ
・ピペットチップ(滅菌済)
・ピペット
・微量高速遠心機
・ボルテックスミキサー
オプション―肺、脾臓からのゲノムDNA精製
肺、脾臓からDNAを抽出する場合は、以下の機器を用いて試料を機械的に破砕することを推奨する(詳細は取扱い説明書5.2を参照)。
・MN Bead Tubes Type F(製品コード 740816.50)
・MN Bead Tube Holder(製品コード 740469)
NucleoSpinはマッハライ・ナーゲル社の登録商標です。