製品説明
NucleoSpin Gel and PCR Clean-up XSは、PCR産物の精製に加え、アガロースゲルからのDNA断片の精製にも利用できる製品である。共通のバッファー(Binding Buffer NTIおよびWash Buffer NT3)でどちらの精製法にも対応できる。
Binding Buffer NTIにはpH indicatorが含まれており、サンプルとBinding Buffer NTIを混合した溶液の色により、サンプルのpHがカラムの結合に適しているかを容易にチェックすることができる。
また、本製品では漏斗状リングにセットされた小径のシリカ膜を特長としたXSスピンカラムを採用することで、わずか6 μlという少量での溶出が可能となった。従来製品よりもさらに高濃度の精製DNA溶液を取得することができる。
NucleoSpin Gel and PCR Clean-up XSの操作手順を動画で紹介しています。(マッハライ・ナーゲル社公式)
図1.アガロースゲルからのDNA精製
100 mgのアガロースゲルブロックから1 kbpのDNA断片をNucleoSpin Gel and PCR Clean-up XSおよび他社製品Q、Zで精製した。
6 μlおよび12 μlで溶出し、その回収率を比較したところ、特に6 μlではNucleoSpin Gel and PCR Clean-up XSによる回収率が最も高いことが分かった。
図2.PCR増幅断片の精製
900 bpまでのPCR増幅断片をNucleoSpin Gel and PCR Clean-up XSおよび他社製品Qを用いて精製し、その回収率を比較した。
50 bp以上のDNA断片すべてにおいてNucleoSpin Gel and PCR Clean-up XSのほうが高い回収率を示し、逆にprimer dimerなどが生じた場合のサイズと想定される24 bpのDNA断片はNucleoSpin Gel and PCR Clean-up XSでは回収されなかった。これらの点からNucleoSpin Gel and PCR Clean-up XSはPCR増幅産物の精製に適していると考えられる。
内容
- Binding Buffer NTI
- Wash Buffer NT3 (Concentrate)
- Elution Buffer NE*
- NucleoSpin Gel and PCR Clean-up Columns (yellow rings)
- Collection Tubes (2 ml)
* 組成:5 mM Tris-HCl、pH 8.5
保存
室温
本製品以外に必要な試薬、機器(主なもの)
試薬
96~100% エタノール
器具
・1.5 mlマイクロチューブ
・ピペットチップ(滅菌済)
・ピペット
・微量高速遠心器
・ヒートブロック
操作手順
pH indicator
PCR反応液またはゲルとBinding Buffer NTIを混合した溶液において、カラム結合のための至適pHは5~6である。Binding Buffer NTIにはpH indicatorが含まれているため、溶液の色によって至適pHかどうかをチェックできる。至適pHでない場合、Buffer NTIまたは4M 酢酸ナトリウム(NaAc, pH5.0)または少量HClを溶液が黄色になるまで加える。
yellow, pH<6 | green, pH<6~7 | blue, pH>7 |
サンプルのpHが至適 | サンプルのpHが少し高い →pH調整が必要 | サンプルのpHが高い →pH調整が必要 |
用途
- PCR産物の精製
- アガロースゲルからのDNA抽出
- 精製DNAはクローニング、シーケンス、PCR、制限酵素処理などに利用可能
- 反応液の濃縮、脱塩
- 150 bases以下のssDNA、RNAのクリーンアップ:別途 Buffer NTC(製品コード 740654.100)が必要