SMART-Seq mRNA LP (with UMIs)は、total RNA 10 pg~100 ng、または1~1,000細胞の超微量サンプルからイルミナ社NGS装置用の高品質mRNA-Seq用ライブラリーが調製可能なキットです。高品質・高効率なcDNA合成技術SMART法(
emplate)で使用するSMART-Seq用オリゴに分子バーコード(UMI)を搭載することにより、シーケンスエラーやPCR増幅バイアスを抑制し、完全長mRNA-Seqにおける遺伝子発現定量解析の精度が既存製品に比べて向上しています。また、
ライブラリー調製においては、フラグメンテーションやステムループのアダプターライゲーションをシングルチューブで行う当社独自のシングルチューブワークフローにより、ハンズオンタイムの短縮に加え、操作ミスやサンプルロスを抑制します。
また、データ解析には、ユーザーフレンドリーな解析ツール「Cogent NGS」が無料で利用可能です。
図4. UMIの有無とRNAインプット量の違いによる遺伝子カウント数とリード分布
SMART-Seq mRNA LP(with UMIs)とSMART-Seq mRNA LPを使用し、K562 RNA(10 pg)またはUniversal human reference RNA(UHR)(100 pg、1 ng、10 ng、100 ng)からライブラリーを調製した。2つのライブラリー調製キットから、ほぼ同程度の遺伝子カウントおよびリード分布が得られた。
図5. Smart-seq2(SS2)法との比較
SMART-Seq mRNA LP (with UMIs)またはSMART-Seq2(SS2)法により、10 pgのUniversal human reference RNA(UHR)からcDNA合成とライブラリー調製を行った。SS2法では、Nextera XT DNA Library Prep Kit(イルミナ社)を用いてライブラリーを調製した。ライブラリーをプールしてシーケンスを行い、120万リードにダウンサンプリングした後のリード分布は、2つの手法でそれぞれ同等の結果を示し、遺伝子カウントは、SMART-Seq mRNA LP (with UMIs)でより多く得られた。
図6. レプリケートペアの回帰分析
リードカウントの絶対数を算出し、ソフトウェアCogent APを用いて、各レプリケートペアについて回帰分析を行った。R
2値はSS2法よりもSMART-Seq mRNA LP (with UMIs)の方が一貫して高い値を示した。
図7. UMIによるRNAカウントの正確性の向上
10 pgのインプットRNAまたはシングルセルから精製したRNAに、ERCC control RNAをスパイクし、SMART-Seq mRNA LP (with UMIs)を用いてライブラリーを調製した。シーケンス後、CogentAPを用いて、ERCC spike-in 転写産物のTPM(Transcripts per million)およびCPM(Count per million)をインプットした分子の絶対数に対しプロットした。UMIを使用した解析結果を組み合わせることで、回帰分析においてR
2値が顕著に増加することが示された。
図8. シングルセルワークフローにおけるUMIの影響
末梢血単核細胞(PBMC)のシングルセルをSMART-Seq mRNA LPまたはSMART-Seq mRNA LP (with UMIs)を用いてライブラリー調製した。ライブラリーはプールしてシーケンスを行い、解析用に90万リードにダウンサンプリングした。UMIの有無に関わらず遺伝子カウントのリード分布が同等であることから、UMIを含むことでデータ品質が損なわれることはないということが示された。
図9. 自動分注装置の影響
SMART-Seq mRNA LP (with UMIs)でのライブラリー調製に、分注装置MANTIS Liquid Dispenserを用いてMouse brain control RNA(10 pg、n=8)を全量、1/2量、1/4量インプットした。ライブラリーはプールしてシーケンスを行い、130万リードにダウンサンプリングした。また、同一のRNAの1/8量をナノリッター分注システムmosquito HV liquid handlerと、ベンチトップで手動でインプットした。これらのライブラリーもプールしてシーケンスを行い、62万リードまでダウンサンプリングした。すべての解析はCogentAPを用いて行った。
Control RNAの分注方法、および分注量に関わらず、同様の遺伝子カウントとリード分布を得られたことから、自動分注装置によるシーケンス結果への影響はないことが示された。