phi29 DNA Polymeraseは
Bacillus subtilis phage phi29を由来とするDNAポリメラーゼです。本酵素は30℃付近で活性を示し、高い鎖置換活性による等温増幅と3’-5’エキソヌクレアーゼ活性による高い正確性が特徴であり、RCA(Rolling Circle Amplification)法やWGA(Whole Genome Amplification)などに使用できます。
増幅反応には、phi29 DNA Polymeraseの3’-5’エキソヌクレアーゼ活性によるプライマーの分解を防ぐため、3’末端が保護修飾された3' Phosphorothioate-modified Random Hexamer(製品コード 3807)のご使用をお勧めします。
使用例をご参照ください。
図1. さまざまなタイプのDNAの増幅
phi29 DNA Polymerase(製品コード RR340A)および3' Phosphorothioate-modified Random Hexamer(製品コード 3807)を用いて、HL60 gDNA、M13 mp18 Single Strand DNA、pUC19 plasmid DNAを鋳型として増幅反応を行った。各DNA鋳型は反応液中にそれぞれ5 ng、0.5 ng、50 pg、5 pgずつ添加し、反応条件は30℃で2時間とした。増幅反応後、電気泳動を行った。
その結果、HL60 gDNAおよびM13 mp18 Single Strand DNAでは鋳型DNAの添加量が5 pg~5 ngの範囲で増幅可能であり、pUC19 plasmid DNAは50 pg~5 ngの範囲で十分な増幅が可能であることが示された。
図2. 反応時間とDNA収量
phi29 DNA Polymeraseおよび3' Phosphorothioate-modified Random Hexamerを用いて、pUC19 plasmid DNAを鋳型として増幅反応を行った(N=2)。pUC19 plasmid DNAは反応液中に0.5 ng添加し、反応条件は30℃で2、4、6、8、16時間とした。反応後、1反応当たりのDNA収量を測定した。
その結果、2時間でも十分な収量は得られたが、より高収量を得たい場合は反応時間を延長(4~16時間)にするとよいことが示された。
(A)

M :λ
Hind III Marker
NTC :鋳型DNAを含まない反応液
※0.7% TAE アガロースゲルを使用し、各反応液を5 μlずつアプライした。
(B)
図3. DNA増幅収量(他社比較)
phi29 DNA Polymerase(Takara)および他社のphi29 DNA Polymeraseを用い、pUC19 plasmid DNA(5 ng、0.5 ng、50 pg、5 pg)を鋳型として、各社の推奨プロトコールに従った反応条件のもと、DNA増幅を行った。
(A)2時間の反応後、電気泳動を行い増幅したDNAを確認した。
その結果、phi29 DNA Polymerase(Takara)は、他社の酵素と比べてより少ない鋳型量で高いDNA収量が得られ、反応液に鋳型を含まないNTCの増幅は確認されなかった。一方で、感度の高い他社酵素もあるが、いずれもNTCにおいてDNA増幅が確認された。
(B)0.5 ngのpUC19 DNAを鋳型とした増幅反応2時間後および4時間後に、反応液20 µl当たりのDNA収量を測定した。
その結果、phi29 DNA Polymerase(Takara)は高いDNA収量を得られることを確認した。また、そのDNA収量は他社の変異体酵素にも匹敵するということが示された。