製品説明
BacPAK qPCR Titration Kitは素早いウイルスDNA精製ステップとインターカレーター法によるqPCR(定量PCR、リアルタイムPCR)法を組み合わせて、迅速かつ簡便にバキュロウイルス力価(ゲノムDNAコピー数)の測定を行うキットである。一般的なウイルス力価測定法では最長10日間を要するのに対し、本キットを用いるqPCR力価測定法ではわずか4時間で結果が得られ、すべてのAcMNPV由来のバキュロウイルスを測定可能である。ウイルスの回収から標的細胞への感染までの時間を大幅に短縮することができ、これらの一連の作業を1日のうちに終えることができる。力価測定結果が直ちに得られるため、ウイルスストックの力価の低下を招くことなく、正確な感染多重度(MOI)で標的細胞に感染させ、再現性の高い結果を得ることができる。
一貫性のあるウイルス感染操作を可能に!
バキュロウイルスによる遺伝子発現システムの主要な利点は、標的細胞に感染するウイルスの数をMOIにより調整することでタンパク質の発現レベルを制御できることである。そのためには、上清中のウイルスの感染単位(PFU、FFU、IFU)を正確に把握することが重要である。もし感染時にウイルスが少なすぎると発現レベルが低下し、多すぎると細胞の育成に悪影響が生じる場合がある。qPCR Titration Kitを用いて得られる力価(ウイルスゲノムDNAコピー数)と、他の力価測定方法で得られる感染力価の相関をあらかじめ求めておけば、本キットで迅速に得られた結果から適切にMOIを調整することができ、安定したバキュロウイルス感染実験が可能となる。
時間のかかる力価測定法では、長期のウイルスストックの保存や凍結融解の繰り返しを余儀なくされるため、予想外の力価の低下や経時的な低下分を見積もった上で、力価を算出してMOIを決める必要があった。qPCRによる力価測定法は、DNA力価をわずか4時間で正確に測定できるので、細胞からのウイルス調製、力価測定、ウイルスの標的細胞への感染までを1日のうちに行える。そのため、調製したウイルスを最高の力価で使用でき、最も高い効率での感染が可能になる。
qPCR力価測定法
BacPAK qPCR Titration Kitでは、TB GreenによるリアルタイムPCRを行い、濃度既知のコントロールDNAの段階希釈液を用いて作成した検量線から、サンプルのバキュロウイルスゲノムDNAコピー数を算出する。(図2)。
各種リアルタイムPCR装置で使用でき、ユーザーマニュアルではMx3000P(Agilent)、ABI 7500 Fast(Thermo Fisher Scientific社)、LightyCycler(Roche社)、Thermal Cycler Dice Real Time System III(製品コード TP900)などでのプロトコールを紹介している。
操作が簡単で再現性が高く、処理時間が短いため、本キットによる力価測定法は理想的なバキュロウイルス力価測定法である。
図1. BacPAK qPCR Titration Kitの操作手順
図2. BacPAK qPCR Titration Kitによる力価測定法は広い範囲の測定濃度をカバー
パネルA:10
8~10
3コピーのBacPAK DNA Control Template段階希釈液を鋳型とした増幅曲線。NTC(No-Template-Control)のバックグラウンドは低く、6オーダーで測定が可能である。
パネルB:パネルAの結果から作成した検量線は良好な直線性を示した(R
2=1.000、Eff=100.7%)。
内容
BacPAK qPCR Titration Kit
(製品コード 631414)
・
BacPAK qPCR Titration Kit Components
・BacPAK DNA Control Template (1.4×108copies/μl)
・BacPAK Forward Titer Primer (10 μM)
・BacPAK Reverse Titer Primer (10 μM)
・EASY Dilution Buffer (1 ml per tube)
・
TB Green Advantage qPCR Premix(製品コード 639676)
・2× TB Green Advantage qPCR Premix (0.625 ml per tube)
・50× ROX Reference Dye LSR*
・50× ROX Reference Dye LMP*
・
NucleoSpin Virus(製品コード 740983.10)
・Lysis Buffer VL
・Wash Buffer VW1
・Wash Buffer VW2(Concentrate)
・RNase-free H2O
・Carrier RNA(凍結乾燥品)
・Liquid Proteinase K
・NucleoSpin Virus Columns
・Collection Tubes(2 ml)
・Collection Tubes(1.5 ml)
*ウェル間の蛍光シグナルの補正を行う装置で解析する場合に使用します。
- ROX Reference Dye LSRを添加する機種
光源がレーザーの機種 :Applied Biosystems 7300 Real-Time PCR System (Thermo Fisher Scientific社) など
(注意)StepOne/ StepOnePlus Real-Time PCR System(Thermo Fisher Scientific社)はLED光源ですが、ROX Reference Dye LSRをご使用ください。
- ROX Reference Dye LMPを添加する機種
光源がLamp またはLEDの機種 :Applied Biosystems 7500/7500 Fast Real-Time PCR System(Thermo Fisher Scientific社) など
保存
BacPAK qPCR Titration Kit Components:-20℃
TB Green Advantage qPCR Premix:-70℃ で遮光保存(融解後は、4℃で遮光保存)
NucleoSpin Virus Kit:室温