Normalized Mate & Plate Libraryは、均一化処理が行われた酵母Y187株(接合型
MATα)形質転換済みのツーハイブリッド解析用cDNAライブラリーである。本ライブラリーはDSN(duplex-specific nuclease)を用いた均一化処理により、発現量の多い転写産物の割合を選択的に低下させている(図1)。これによりサンプル中の転写産物の存在量が均一になるため、偽陽性クローンの出現が抑えられ、発現量が低い目的遺伝子のスクリーニングをより短時間で行うことが可能である(1)。また、酵母への形質転換が完了しているため、面倒な大腸菌でのライブラリー増幅やラージスケールでのプラスミド回収の必要がなく、接合によるツーハイブリッドスクリーニングをより簡便に行うことができる(図2)。
Normalized Mate & Plate Universal Library(ヒトまたはマウス由来)は、広範な遺伝子発現を示すことを確認した各種組織から調製したRNAプールを出発材料に用いてcDNA合成を行い、さらに均一化処理を行っている。このため広範な遺伝子クローンをカバーしており、目的のタンパク質と相互作用を示す真の陽性クローンをより確実にスクリーニングすることができる(3)。
これらすべての均一化処理済みライブラリーは、均一化効率をロットごとに厳密に確認した後、preyベクターpGADT7-RecABへクローニングされている(図3)。
Matchmaker Gold Yeast Two-Hybrid System(製品コード 630489)とNormalized Mate & Plateライブラリーシリーズを用いることで、ツーハイブリッドスクリーニングが非常に効率よく実施可能である。また、Matchmaker Two-Hybrid System 3(販売終了)のAH109株を用いたツーハイブリッドスクリーニングにも使用できる。
図1. 各遺伝子のcDNA量の均一化
均一化処理前後のUniversal cDNA(ヒト混合組織から作製)について、NimbleGen Homo sapiensマイクロアレイを用いて各遺伝子から得られるシグナル強度を解析した。均一化処理により、発現量の多い約3,300の遺伝子の存在量が大きく減少していることが分かる。
図2. "Mate & Plate"プロトコールによる接合スクリーニング
既知のタンパク質を発現するbaitベクターで形質転換済の酵母Y2HGold株と、Mate & Plateライブラリーを混合して一晩培養し接合を行う。培養後、選択培地に蒔いて相互作用を示す陽性クローンを選択する。