製品説明
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、ヒトや動物の皮膚、消化管に存在する常在細菌の一種で、食品中で増殖するとエンテロトキシンと呼称される毒素を産生し、食中毒の原因となる。
本キットは、ハウスキーピング遺伝子の1つであり、菌種間でも多様性を持つDnaJ遺伝子をターゲットとして、黄色ブドウ球菌をリアルタイムPCR装置を用いて特異的に検出するキットである。
本キットによる増幅にはHot Start PCR用酵素、TaKaRa Ex Taq HSを使用しており、反応液調製時などサイクル前のミスプライミングやプライマーダイマーに由来する非特異的増幅を防ぐことができ、高感度の検出が可能になる。
増幅産物の検出にはサイクリングプローブ法を採用している。サイクリングプローブ法は、RNAとDNAからなるキメラプローブとRNase Hの組み合わせによる高感度な検出方法で、増幅中や増幅後の遺伝子断片の特定配列を効率良く検出することが出来る。プローブは片方の端が蛍光物質で、もう片方の端が蛍光物質の発する蛍光を消光する物質(クエンチャー)で標識されている。このプローブは、インタクトな状態ではクエンチングにより蛍光を発することはないが、配列が相補的な増幅産物とハイブリッドを形成した後にRNase HによってRNA部分で切断されることにより、強い蛍光を発するようになる。この蛍光強度を測定することで、増幅産物量をモニターすることが出来る。
本キットには、黄色ブドウ球菌のDnaJ遺伝子に由来する増幅産物を検出するためのFAM標識プローブ、ならびにインターナルコントロールDNAとインターナルコントロール由来増幅産物を検出するためのROX標識プローブが含まれている。二波長を同時にモニタリングすることで、一本のチューブでDnaJ遺伝子の検出と、インターナルコントロールDNAの検出による偽陰性のモニターが可能である。リアルタイムPCRによる検出なので電気泳動が不要であり、迅速に結果が得られる。
本製品は、岐阜大学大学院医学系研究科病原体制御学分野 教授 江崎孝行先生のご協力のもとに開発いたしました。
内容
(25 μl反応、50回)
*1 蛍光標識プローブを含んでいるため、遮光に留意すること。
保存
-20℃
キット以外に必要なもの(主なもの)
- 【機器】
- リアルタイムPCR装置および専用チューブ
Thermal Cycler Dice Real Time System シリーズ(製品コード TP900/TP960:終売 など)*2
食品環境検査用ソフトウェア(日本語表示)
または、Thermal Cycler Dice Real Time System Software
Applied Biosystems 7500 Fast Real-Time PCR System(Thermo Fisher Scientific社)
StepOnePlus Real-Time PCR System(Thermo Fisher Scientific社)など
- ヒートブロック(95℃まで温度を上げられるもの)
-
- 【その他】
- 1,000 μl、200 μl、20 μl、10 μl 各マイクロピペット
- マイクロピペット用チップ(疎水性フィルター付)
- 卓上遠心器
- 微量高速遠心機(4℃設定可能なもの)
補足資料