flashBAC Baculovirus Expressionシステムは、組換えバキュロウイルスを作製するためのウイルスDNAとコントロールトランスファープラスミドのセットである。
Autographa californica nucleopolyhedrovirus(AcMNPV)のゲノムから必須遺伝子ORF1629を欠失させ、昆虫細胞内で非組換ウイルスが複製されないようにしているため、組換えウイルスをプラーク精製する必要がない。さらに、キチナーゼ遺伝子(
chiA)を欠損することにより、組換え分泌タンパク質や膜タンパク質を非常に効率良く生成できる。
flashBAC ULTRA Baculovirus Expression System(製品コード MIR6135、MIR6140)は、非必須遺伝子を欠失させることにより、発現タンパク質の品質と量を改善している。
本システムは、AcMNPVポリヘドリン遺伝子部位にbacterial artificial chromosome (BAC)が挿入されている。
システム | 特徴 |
flashBAC | 基本システム。AcMNPVのキチナーゼ遺伝子を欠損することにより、タンパク質発現や分泌が改善されている。ほとんどの核や細胞質タンパク質の発現に適している。 |
flashBAC ULTRA | キチナーゼ、カテプシン、p10, p74, p26遺伝子を欠損させた最新型flashBACベクターである。核、細胞質、膜、分泌タンパク質で発現が困難なタンパク質の発現に適している。 |
flashBACシステムで組換えバキュロウイルスを作製するためには、昆虫細胞、トランスファープラスミド、トランスフェクション試薬などが必要である。昆虫細胞(sf9、sf21)へ
flashBAC DNAと目的遺伝子を含むトランスファープラスミド(
pBacPAK8、pBacPAK9、pOET1、pOET1C_6xHIS、pOET6など)を、
TransIT-Insect Transfection Reagent(製品コード MIR6104)などのトランスフェクション試薬を使用して導入する。昆虫細胞内での相同組換えにより、目的遺伝子は、ポリヘドリンプロモーター下流へ挿入される。その結果、ORF1629遺伝子の機能が回復し、ウイルスDNAの複製とウイルス粒子作製が起こる。産生されたバキュロウイルスは、昆虫細胞の培養液から直接回収できる。
★本システムで使用可能なトランスファープラスミドは
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図 flashBACシステムによる組換えバキュロウイルス作製