製品説明
MiraCell Endothelial Cells (from ChiPSC12)は、細胞毒性が危惧される薬剤選択等に依存した純化工程を用いることなくヒトiPS細胞より分化誘導された高純度な血管内皮細胞(CD31陽性率 95%以上)である。CD31、Tie2、vWF(フォンヴィルブランド因子)、CD144(VEカドヘリン)などの血管内皮マーカー発現のほか、LDL取り込みやチューブ形成能などの血管内皮細胞機能を製造ロット差なく安定して保持している。そのため、血管内皮細胞の性状・機能解析や創薬・毒性試験、再生医療研究などに幅広く利用可能である。
MiraCell Endothelial Cells (from ChiPSC12) Kitには、細胞(凍結バイアル)と増殖用培地MiraCell EC Culture Mediumが含まれている。
※本製品は、京都大学iPS細胞研究所によって研究開発されたヒト血管内皮細胞の作製技術を、タカラバイオがiHeart Japan株式会社から導入して共同開発した製品です。
※本製品の製造には、Cellartis DEF-CS 500 Culture System(製品コード Y30010)を用いてフィーダーフリー下で培養されたヒトiPS細胞株ChiPSC12(製品コード Y00285)を使用しています。
内容
MiraCell Endothelial Cells (from ChiPSC12) Kit(製品コード Y50055)
・MiraCell Endothelial Cells (from ChiPSC12)(凍結品:1 vial >1.5×10
6 cells)
・MiraCell EC Culture Medium
※ 単品購入も可能(製品コード Y50053)
MiraCell EC Culture Medium | 500 ml |
MiraCell EC Culture Supplement | 9 ml×2 |
保存
MiraCell Endothelial Cells (from ChiPSC12):液体窒素保存
到着後、ただちに液体窒素タンクにて保存してください。
MiraCell EC Culture Medium:4℃、遮光(凍結不可)
MiraCell EC Culture Supplement:-20℃(再凍結不可)
使用するまで-20℃以下で凍結保存し、使用前日から4℃で一晩かけてSupplementの解凍を行ってください。
※ MiraCell EC Culture MediumにMiraCell EC Culture Supplementを添加した後は4℃で保存し、2週間以内に使用してください。
キット以外に必要な試薬
・Dulbecco’s PBS(製品コード C-40230)
・Dulbecco’s PBS, w/o Ca2+/Mg2+(製品コード C-40232)
・Accumax(Innovative Cell Technologies,Inc, Cat#AM105)
・1 mg/ml フィブロネクチン溶液
アプリケーションデータ
図1. HUVEC細胞との血管内皮マーカー発現比較
MiraCell EC 2ロットの血管内皮マーカー発現量を解析したところ、血管内皮細胞マーカーとして知られるCD31, Tie2, vWFをHUVEC (ヒト臍帯静脈内皮細胞)と同程度に発現する一方、血管内皮前駆細胞のマーカーとして報告のあるCD34の発現量がHUVECに対して高く維持されていることが確認された。
図2. 細胞表面抗原のFCM解析結果
血管内皮細胞(CD31[PE-CAM1]、CD144[VE-Cadherin])、血管内皮前駆細胞(CD34)、白血球細胞(CD45)のマーカーとして知られる4種のCD抗原発現をFCM解析した。CD31(+)/CD34(+)、および、CD144(+)/CD45(-)の細胞がそれぞれ99.8%、97.8%と大多数存在することが確認された。
図3. in vitroチューブ形成結果
MiraCell ECを内皮細胞増殖培地(製品コード C-22111)とマトリゲルコートしたプレートで24時間培養した。チューブ形成能が確認された。※プロトコール詳細は、Y50055 説明書, VI. 応用例をご覧下さい。
図4. Dil-Ac-LDL取り込み結果
フィブロネクチンコートしたプレートに細胞を播種して数日間培養後、Dil-Ac-LDL(赤)を添加した。5時間培養して固定した後にDAPI(核)染色(青)を行った。すべての細胞でLDLの取り込みが観察された。
図5. CD31抗体による免疫染色結果
MiraCell ECをCD31抗体で免疫染色(緑、青はDAPI(核)染色)したところ、大部分がCD31依存的な細胞間接着構造を形成し(左写真)、22日間培養後においても99.4%の細胞が血管内皮マーカー(CD31, CD144)を高発現していることがFACS解析により確認された(右図)。
図6. ACE2抗体による染色結果
MiraCell EC (左図:明視野)をACE2(Angiotensin-converting enzyme 2)抗体で免疫染色(右図: [赤]ACE2、[青]DAPIによる核染色)したところ、大部分の細胞でACE2の発現が確認された。
使用上の注意
MiraCell Endothelial Cells (from ChiPSC12) KitはiHeart Japan株式会社よりライセンスを受け、タカラバイオ(株)が製造、販売しています。
ヒトiPS細胞由来細胞の使用に関して
参考文献
- Efficient and robust differentiation of endothelial cells from human induced pluripotent stem cells via lineage control with VEGF and cyclic AMP.
Ikuno T, et al. (2017)PLoS ONE 12(3):e0173271