ゲノム編集を行った後、バルク細胞集団や、FACSまたは限界希釈法によって分離されたクローン細胞株は、野生型、インデル、または挿入など、様々なパターンが見られる。
クローン細胞からDNA抽出を行い標的部位のPCR増幅後、PCR産物を2種類の異なるオリゴ(displacement oligo;紫およびflap probe:インサートの5'末端とハイブリダイズするもの(flap-probe oligo A;緑)、または3'末端とハイブリダイズするもの(flap-probe oligo B:オレンジ))とアニーリングする。
相同組換えが成功して目的配列の挿入が成功した場合、両方の末端で、プローブが完全なハイブリダイゼーションするので、Guide-it Flapase(はさみで示す)により、それぞれのflap probeが切断され、緑色と赤色の両方の蛍光シグナルを生成する。1種類の蛍光シグナル(赤または緑)のみ検出される場合は、それぞれ5'末端または3'末端で挿入配列が欠失されたことを示す。蛍光が検出されない場合は、野生型配列または標的部位でindelが生じたことを示す。
ゲノム編集技術を用いた一塩基置換(G>T)の例を示す。
Panel A.ゲノム標的部位での結果:標的部位において切断が発生しない場合、または切断発生後に非相同末端結合(NHEJ)ベースの正確な修復が行われた場合、標的部位に変化はなく、結果は野生型(WT)シーケンスになる。
標的配列で切断が発生した後に非相同末端結合(NHEJ)ベースの不正確な修復が続く場合、標的部位に挿入または欠失(Indel)が生じ、結果はノックアウト(KO:非常に可能性の高い結果)を引き起こす可能性がある。
切断の後に正確なHDR(相同組換え修復)が続くと、SNPが標的部位に導入される。
Panel B.二倍体細胞における複合対立遺伝子の結果:二倍体細胞でゲノム編集を行うと、各対立遺伝子の結果が異なり、複数の組み合わせが生成される。
ゲノム編集がされなかった場合、細胞はホモ接合性を維持することがでる(Wild type;上)。
NHEJベースの不正確な修復が続いた場合、片方または両方の対立遺伝子が変更される(Indel;中央)。
HDRが成功した場合、片方または両方の対立遺伝子で目的のSNPが挿入された細胞を得ることができる(Successful HDR;下)。
このワークフロー例では、G>A置換の検出例を示す。
Gが野生型でAが置換される塩基である。ゲノム編集後、クローン化したシングルセルからは、目的のゲノム標的部位でいくつかの異なる遺伝子型の結果が得られる。標的部位のPCR増幅後、PCR産物はdisplacement oligo(紫色)とflap-probe oligo A(緑色;SNP対立遺伝子A)またはflap-probe oligo B(オレンジ;WT対立遺伝子G)のいずれかとの組み合わせにより同時にアニーリングされる。PCR産物へのオリゴのアニーリングの後、Guide-it Flapase(はさみで示す)は完全な塩基対を認識し、flap-probe oligoの5'部分(緑色またはオレンジ色)を切断する。切断されたflapは、対応するGuide-it Flap Detectorによって検出され、それぞれ緑色または赤色の蛍光シグナルを発する。上記の例では、対象部位でホモ接合性WT(G/G)であるクローン細胞株の分析では赤色シグナルのみが得られ、編集されたWTとSNPの対立遺伝子(G/A)を含むヘテロ接合性クローンの分析では赤と緑の両方のシグナルが得られる。
Guide-it Knockin Screening KitのSNP検出機能を実証するために、CRISPR/Cas9システムを使用して、早期発症アルツハイマー病に関連するA>G置換(M164V)をコードするPSEN1遺伝子のバリアントのヘテロ接合iPS細胞株を作製した。
Panel A. PSEN1遺伝子座で正確な編集を行うために使用されるsilent PAM変異を含むHDRテンプレート:HDRが成功した場合、PSEN1遺伝子座は、WTまたはSNP対立遺伝子のいずれかを、隣接するPAM配列のsilent変異と組み合わせて符号化する。
Panel B. ゲノム編集後のバルクiPS細胞集団での塩基置換の検出:センスまたはアンチセンスHDRテンプレートのいずれかを使用する方法で、Guide-it Knockin Screening Kitを使用して、各ケースで編集の成功を検出できるかどうかを確認した。
Displacement oligo または flap-probe oligosは、対応するHDRテンプレートによって符号化されたsilent(G>C)PAM突然変異を持つWTまたはSNP対立遺伝子を検出し、それぞれ赤色および緑色蛍光シグナルを生成するように設計された。
細胞にCas9タンパク質のみ(negative control)、Cas9-sgRNA複合体RNP(KO)、センスまたはアンチセンスWT/SNP HDRテンプレートとRNPを混合したものをそれぞれ別々にエレクトロポレーションを行った。WTまたはSNP配列をコードする合成オリゴをsilent PAM突然変異と組み合わせて、positive controlとして並行してアッセイを行った。HDRテンプレートを用いたエレクトロポレーションの結果では、大量のバルク集団で成功した相同組換えが検出できた。Negative controlの緑および赤の蛍光シグナルは検出されず、未編集のWT配列の存在下では偽陽性の蛍光シグナルを生じなかったため、flap-probe oligoの特異性が確認できた。
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