T細胞またはPBMCとレンチウイルスを混合してスポンジに添加し、37℃で1時間インキュベートしてスポンジに混合液を吸収させます。次に、培地を加えて37℃で48時間インキュベートします。インキュベーション後、特殊なRelease Bufferを加えてスポンジを溶解し、細胞を回収します。
図1.Lenti-X T-Cell Transduction Spongeのワークフロー
- ターゲット細胞とレンチウイルスを混合する(トータル液量の上限は150 μl)
- スポンジを24ウェルプレートにセットし、細胞とウイルスの混合液を滴下する
- 37℃で1時間インキュベート後、培地を添加して48時間インキュベートする
- インキュベート後、培地とスポンジを15 mlチューブに移し、Release Bufferを添加、遠心してスポンジを溶解し、PBSで2回Washする
- 細胞を新しい培養容器に移して培養を開始する
図2.Lenti-X T-Cell Transduction Spongeの詳細
Panel A:製品外観とスポンジ構造の拡大図。12個のスポンジが個別にパックされている。
スポンジサイズ:直径~0.2 cm、高さ~0.5 cm
ポアサイズ:20~300 μm
Panel B:微細な流路構造内で細胞とウイルスが局在する様子(イメージ図)
図3.T細胞活性化
Lenti-X T-Cell Transduction SpongeまたはT細胞活性化試薬を用いて、T細胞の活性化効果を比較した。4×10
6個のヒト初代T細胞を用いて、ZsGreen1発現レンチウイルスをMOI=5、10で混合してLenti-X T-Cell Transduction Spongeで処理(T-cell sponge)、あるいはImmunoCult Human CD3/CD28 T Cell Activator(STEMCELL Technologies社)で刺激した(Conjugate)。また、コントロールとして未刺激の細胞を用いた(Unstim)。それぞれ48時間後にFCM解析によりCD69+の発現率を測定してT細胞の活性化レベルを調べた。
その結果、本製品で処理した細胞は、T細胞活性化試薬で処理した細胞と同等以上の発現率を示した。よって、本製品はT細胞を十分に活性化できることが示された。
図4.ヒト初代T細胞への遺伝子導入効率
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6個のヒト初代T細胞に、遠心感染法またはLenti-X T-Cell Transduction Spongeを使用して、MOI=5、10でZsGreen1発現レンチウイルスによる遺伝子導入(トランスダクション)を実施した。遠心感染法は、ImmunoCult Human CD3/CD28 T Cell Activator(STEMCELL Technologies社)で2日間 T細胞を活性化した後にレンチウイルスを添加し、ポリブレン(8 μg/ml)存在下で、1,500×
gで90分間遠心した(Spinoculation)。遺伝子導入後、FCM解析によりZsGreen1の発現を経時的に測定し、遺伝子導入効率を評価した。グラフ中に表示されている数値(%)は、7日目におけるZsGreen1陽性(ZsGreen1+)率を示している。
その結果、本製品を用いた場合、遠心感染法と同等以上の導入効率が得られることが示された。
図5.ヒト初代T細胞への遺伝子導入後の細胞生存率
4×10
6個のヒト初代T細胞に、遠心感染法またはLenti-X T-Cell Transduction Spongeを使用して、MOI=5、10で ZsGreen1発現レンチウイルスによる遺伝子導入(トランスダクション)を実施した。遠心感染法は、CD3/CD28 ImmunoCult試薬でT細胞を2日間活性化した後にレンチウイルスを添加し、ポリブレン(8 μg/ml)存在下で、1,500×
gで90分間遠心した(Spinoculation)。遺伝子導入後、細胞の生存率を7-AAD染色およびFCM解析により経時的に測定した。
その結果、本製品を用いた遺伝子導入後の細胞生存率は、遠心感染法よりも高く維持されることが示された。