Cellartis® DEF-CS™ 500 Culture System

【ユーザー様実施例】 異なるフィーダーフリー培養液を用いたiPS細胞から誘導した間葉系幹細胞様細胞の特性比較

大阪歯科大学 歯科理工学講座 教授 橋本典也先生

Cellartis DEF-CS 500 Culture System(製品コード Y30010)のユーザー様である大阪歯科大学 橋本典也先生らによる研究成果がMedical Molecular Morphologyに掲載されました。
【論文名】
Comparison of the characteristics of mesenchymal stem-like cells derived by integration-free induced pluripotent stem cells in different single-cell culture media under feeder-free conditions
Ueda, M., Hashimoto, Y., Honda, Y. et al. Medical Molecular Morphology (2019) 52, 147-155.
https://doi.org/10.1007/s00795-018-0211-1

橋本先生よりご研究の内容や本製品についてのご感想をいただきましたので、是非ご覧ください。

■研究内容と結果

皮膚由来iPS細胞409B2を使用した。409B2の培養はフィーダー細胞上の培養から、3種類の異なるフィーダーフリー培養液へ移行し、馴化後、間葉系幹細胞(MSC)誘導培養液下で行った。間葉系幹細胞様細胞(MLSC)への細胞誘導はフローサイトメーターにて、MSCのマーカー、造血幹細胞のマーカーおよび未分化マーカーの表面抗原を測定し確認した。iPS細胞由来間葉系幹細胞様細胞(iPSMSLC)の骨芽細胞、軟骨芽細胞、脂肪細胞への分化能は、初期分化マーカー遺伝子の発現を測定した。409B2から3種類のフィーダーフリー培養液を用いたiPSMSLCの作製が可能であることが示唆された。3種類の中でも、DEF-CS 500は、iPSMSLCの誘導が早く、iPSMSLCを骨芽細胞、軟骨芽細胞、脂肪細胞のいずれにも分化させることができた。
図1. ヒトiPS細胞から誘導した間葉系幹細胞様細胞の初期分化マーカー遺伝子の発現解析
骨芽分化の初期マーカーRUNX2遺伝子(A)、軟骨分化の初期マーカーSOX9遺伝子(B)と脂肪分化の初期マーカーPPARγ遺伝子(C)の遺伝子発現レベルを示す。
Ueda, M., Hashimoto, Y., Honda, Y. et al., Medical Molecular Morphology (2019)より引用
https://doi.org/10.1007/s00795-018-0211-1

■インタビュー

質問1. Cellartis DEF-CS 500 Culture Systemを使ってみようと思ったきっかけは何ですか?
ヒトiPS細胞の樹立/維持培養では、マウス線維芽細胞とのフィーダー培養を行ってきました。しかし、フィーダー細胞の培養は手間がかかるため、簡単にヒトiPS細胞を維持培養できるシステムを探していました。
質問2. 実際に使ってみた感想はいかがでしたか?
細胞増殖能が非常に高く、未分化能も維持できており、大変満足しています。ただし、フィーダー培養していた凍結iPS細胞をいきなりこの培養液で培養すると増殖しない細胞株もあるので注意が必要です。
質問3. まだ使われたことがない方に対して、一言お願いします。
培養初心者の大学院生でも DEF-CS 500を用いれば簡単にヒトiPS細胞の維持培養が可能です。ガラス化法も不要で凍結保存も簡単です。
- ご協力有難うございました -

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