製品説明
本酵素は、海洋性細菌Alteromonas espejiana BAL 31が菌体外に産出する一本鎖DNAに特異的なendonuclease であるが、一本鎖がないときは二本鎖DNAに作用し、両端を末端から同時に分解する5’→3’および3’→5’exonuclease活性(trimming活性)を示す1)。最終産物は5’-Pモノヌクレオチドである。本酵素には分子量約83 kDaの〔F〕型と分子量約73 kDaの〔S〕型が存在し2)、〔F〕型の方がexo/endoの活性比が約10~20倍高い。両型は、exonuclease活性が相対的に異なる以外に、反応条件等の差は認められていない。本酵素はF型を主とする両型のmixtureである。
保存
-20℃
濃度
1~3 U/μl
形状
20 mM | Tris-HCl(pH8.0) |
100 mM | NaCl |
5 mM | CaCl2 |
5 mM | MgCl2 |
1 mM | EDTA |
50% | グリセロール |
添付Buffer組成(2×)
40 mM | Tris-HCl(pH8.0) |
1,200 mM | NaCl |
24 mM | CaCl2 |
24 mM | MgCl2 |
2 mM | EDTA |
活性の定義
熱変性仔牛胸腺DNAを基質として、30℃、pH8.0において、1分間に1 μgの酸可溶性分解物を生成する酵素活性を1 Uとする。
活性測定用反応液組成
20 mM | Tris-HCl(pH8.0) |
600 mM | NaCl |
12 mM | CaCl2 |
12 mM | MgCl2 |
1 mM | EDTA |
650 μg/ml | 基質DNA |
使用上の注意
- 一本鎖endonuclease活性は反応温度を30→20℃にすると1/10程度まで下がるが、二本鎖exonuclease活性の残存は1/3程度である。
- endonuclease活性は塩濃度に影響されないが、exonuclease活性は塩濃度が高いほど低下する。
- trimming活性の至適塩濃度は200 mM NaCl付近で、これより低いとnicking活性を示すことがある。
- 分解活性は塩基に対する依存性が高く、GC richな領域(特にSma I サイト)は分解されにくいので、削り込みの場合、末端制限酵素サイトを選択する必要がある3)。
- 反応はdistributiveで酵素濃度に大きく依存しており、希釈に対して直線的な相関を示さない。酵素の反応が速すぎる場合には、酵素量を減らすよりも反応温度を下げるとよい1)。
- 本酵素によって生じた末端の平滑率は10%程度と低く、ライゲーション効率を上げるためにはT4 DNA Polymeraseによる修復が望ましい。
用途
- DNAフラグメント両端からの限定分解(欠失の作製)
(欠失の長さが100塩基以上1,000塩基程度の場合に適している。それ以下の場合には、Exonuclease IIIとS1 Nucleaseの組合せを用いるとよい。)
起源
Alteromonas espejiana BAL 31
一般的性質
- 分子量
73,000~83,000
- 至適pH
pH8.0
- 補因子
Ca2+
- 活性化剤
Mg2+
- 阻害剤
EDTA(不可逆的に失活)1)