NC(negative control)
NC(negative control)は、組換えバキュロウイルス感染によるタンパク質発現実験用のネガティブコントロールウイルスである。
ネガティブコントロールとして、バキュロウイルス非感染細胞がしばしば用いられるが、バキュロウイルスが感染した細胞は宿主細胞の発現プロファイルに変化を生じたり、非感染細胞には見られないバキュロウイルス由来タンパク質が存在するため、非感染細胞をネガティブコントロールとして用いることは勧められない。また、ワイルドタイプまたはクロンテック社BacPAK6ベクターのようなバキュロウイルスで感染させた細胞も、BacPAK6ベクターが発現するβガラクトシダーゼやワイルドタイプのバキュロウイルスが産生するポリヘドリンなど顕著な発現を示すタンパク質が存在するため、ネガティブコントロールには適していない。
したがって、ポリヘドリンもしくはポリヘドリン部位の他のタンパク質を発現しないこと以外はワイルドタイプの
Autographa californica nuclearpolyhedrosis virus(AcNPV)と全く同一である本製品は、バキュロウイルス感染によるタンパク質研究に最適なネガティブコントロールである。
GC(green control)
GC(green control)は、
Aequorea victoria由来green-fluorescent protein(GFP)を産生するバキュロウイルスで、GFPの蛍光をウイルス増殖のモニタリングや培養条件の最適化、ウイルスストックの力価測定などに利用する場合のポジティブコントロールとして使用できる。
GCP(green control plasmid)
GCP(green control plasmid)は、AcMNPVポリへドリンプロモーター支配下に
Aequorea victoria由来 green fluorescent protein (GFP)遺伝子をコードするプラスミドトランスファーベクターDNAである。ProEasy、GFPをコードしていないProFoldシリーズ (ProFold-0, ProFold-PDI, ProFold-PDI*)、Clontech BacPAK6、BD BaculoGold などのAcMNPV由来linearized baculovirus DNAとともに昆虫細胞内にコトランスフェクションし、ポリへドリン部位での相同組換えが成功すればGFPを産生するようになるのでコトランスフェクションの陽性コントロールとして利用できる。
NC,GC,組換えバキュロウイルス(BC)を感染させた昆虫細胞のタンパク質分析
Spodoptera frigiperda由来Sf9細胞をそれぞれのバキュロウイルスに感染後60時間で採取し、50 mM Tris-HCl (pH8.0), 150 mM EDTA, 0.5% NP-40で溶解し、不溶画分を30,000×g 15 minの遠心分離で除去した。可溶化タンパク質は11% SDS-PAGEで分離しCoomassie blueで染色した。
GFPマーカーは、ウイルス増殖のモニタリングと培養条件の最適化に利用できる。
ウイルス力価は、緑色の細胞を蛍光顕微鏡でカウントするか、または力価既知のGreen Control Baculovirus(製品コード C14)を利用した"terminal green dilution"法により測定することができる。
図右側に示した通り、力価既知のGreen Controlウイルスストック(A,B)と比較することにより、新規に生成したウイルスストック(C,D)の力価を決定することができる。