製品説明
アデノ随伴ウイルスベクター(AAVベクター)は、増殖/非増殖のいずれの細胞にも遺伝子導入が可能であり、特に非分裂細胞においては長期間の発現が可能である。また、免疫原性が低く、動物個体への遺伝子導入にも適している。AAVベクターを用いて遺伝子導入を行う際は、ウイルス産生細胞や培地由来の不純物を除去し、高純度に精製したウイルスベクターを使用する必要がある。また、培養細胞へ遺伝子導入を行う際にも、精製したAAVベクターを使用することで、不純物の影響をなくすことができる。
本製品は、AAV血清型2(AAV2)ベクター産生細胞からAAV2ベクターを簡便に精製できるキットである。カラム精製タイプであり、超遠心分離などの煩雑な操作を行うことなく、約4時間でAAV2ベクターを精製することができる。本キットでは、AAV2ベクター産生細胞からのベクター抽出に従来の凍結融解法や超音波破砕法を行わず、独自に開発した抽出法により、宿主由来のタンパク質や核酸の混入を抑え、効率的かつ簡便にAAV2ベクターを抽出する。そのため、Nuclease処理無しでも二本鎖DNAの混入を大幅に低減できる。
図1.AAVpro Purification Kit (AAV2) を使用したAAV2ベクターの精製工程の概略 内容
1. | AAV Extraction Solution A | 14 ml×2本 |
2. | AAV Extraction Solution B | 2.8 ml |
3. | SD Solution*1 | 2.8 ml |
4. | Equilibration Buffer | 11 ml×2本 |
5. | Washing Buffer | 11 ml×2本 |
6. | Elution Buffer | 7 ml |
7. | Suspension Buffer | 1.2 ml |
8. | Prepacked Column*2 | 2本 |
9. | Filter Device | 2本 |
10. | Collection Tube | 4本 |
*1 SD Solutionは4℃保存により白色沈殿物が生じることがありますが、品質、性能には問題ありません。この場合は、37℃で温めて完全に溶解させてから使用してください。
*2 Prepacked Column 1本につきT225フラスコ10枚までのAAV2ベクターの精製が可能です。
(T225フラスコ5枚分の精製を推奨)
保存
4℃
セット以外に必要な主な器具・試薬
1. 器具・装置
・細胞培養に必要な一般的設備
・50 ml滅菌済み遠心チューブ
・T225細胞培養フラスコ
・15 ml滅菌済み遠心チューブ
2. 試薬類
・0.5 M EDTA(pH8.0)
(EDTA Buffer Powder, pH8.0(製品コード T9191))
※Nuclease処理を行う場合は以下の試薬も必要
・1 M MgCl2溶液
・Cryonase Cold-active Nuclease(製品コード 2670A/B)
関連資料
使用上の注意
本製品をご利用の際は、以下の点にご注意ください。
- 本製品はアデノ随伴ウイルスベクターを含むものではなく、また本製品の使用によりアデノ随伴ウイルスベクターが産生されるものではありません。しかしながら、本製品の使用対象であるアデノ随伴ウイルスベクターの使用には文部科学省の定める省令(「研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令」平成16年文部科学省・環境省令第1号)にあるP1レベル以上の施設が必要です。
- 本製品ご利用の際は省令および組織内の組換えDNA実験安全委員会の指示に従い、安全には十分ご注意ください。
- アデノ随伴ウイルスベクターの系によって生産されるウイルスは挿入断片によっては危険なウイルスを含む恐れがあるため、組換えアデノ随伴ウイルスの生産と取扱いには、適切な処置をとる必要があります。吸入や付着を防ぐため、必ず、安全キャビネットを使用してください。
- 本製品の使用には遺伝子工学と細胞培養に関する基本的な技術が必要です。