製品説明
Tet-On 3G Inducible Gene Expression Systemは、Tetシリーズ中で最も高い誘導倍率を実現することができる第3世代のテトラサイクリン発現誘導システムである。Tet-On 3G Systemは、テトラサイクリン応答因子配列を新たに最適化することで、従来のTet-OnやTet-On Advanced Systemよりも非誘導時の基底発現量を抑制し、これによりさらに高い誘導倍率を実現している(図1、2)。また、リバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子配列にも改良を加えることで、トランス活性化因子のドキシサイクリン(Doxycycline:Dox)に対する感度も向上している(図3)。
内容
- Tet-On調節ベクター(pCMV-Tet3G)
- TRE応答発現ベクター(PTRE3Gプロモーター)
- Control vector (pTRE3G-Luc、またはpTRE3G-BI-Luc)
- Hygromycin, Puromycin linear selection marker
- Tet Approved FBS (50 ml)
- Xfect Transfection Reagent(100反応分)
製品コード | Tet-On調節ベクター | TRE応答発現ベクター |
631168 | pCMV-Tet3G | pTRE3G |
631337 | pCMV-Tet3G | pTRE3G-BI |
631166 | pCMV-Tet3G | pTRE3G-IRES |
631338 | pCMV-Tet3G | pTRE3G-BI-mCherry |
631339 | pCMV-Tet3G | pTRE3G-BI-ZsGreen1 |
631165 | pCMV-Tet3G | pTRE3G-mCherry |
631164 | pCMV-Tet3G | pTRE3G-ZsGreen1 |
注意)
本製品に含まれるTRE応答発現ベクターは、プラスミド調製した際の収量が、一般的なプラスミドよりかなり低くなります。収量を上げるために、培養液量を増やして調製していただくことをお勧めします。
市販のプラスミド調製用キットをご使用の場合は、低コピープラスミド用のプロトコールに従って調製してください。
特長
- さらなるバックグラウンドの低減:PTRE3Gプロモーターの配列を最適化することで、これまでで最も厳密であったPTightプロモーターに比べ、さらに5~20倍も基底発現量を低減している(図1)。
- 大幅な感度の向上:Tet-On 3G調節ベクターの配列を最適化することで、Dox誘導時の感度が大幅に向上され、より低い濃度のDox(5~10 ng/ml)でも誘導をかけることができる。わずか10 ng/ml Doxで一晩処理するだけで非常に高い発現レベルが得られる(図4)。
- 高い誘導倍率:Tet-On 3Gは、従来のTet-OnおよびTet-Offシステム同様の高い最大発現レベルを保持しながらも、基底発現量を大きく低減させたため、発現誘導時に極めて高い誘導倍率を実現する(図2)。MCF7細胞を用いた一過性発現実験でも、最大27,000倍の誘導倍率を観察している。
System | Generation | Transactivator | Inducible Promoter |
Tet-On 3G System | 3rd | Tet-On 3G | PTRE3G |
Tet-On Advanced System | 2nd | Tet-On Advanced | PTIGHT |
Tet-On System | 1st | Tet-On | PTRE2 |
システム世代別のトランスアクチベーターと誘導プロモーター
Tet-On 3G Bidirectional Systemを用いれば、2種類の遺伝子の発現を同時に誘導することができる。両遺伝子は
PTRE3Gプロモーターから双方向に、同レベルで転写される。発現する遺伝子として、目的遺伝子とレポーター遺伝子の組み合わせや2種類の目的遺伝子など、ベクターにより選択できる。本システムは以下の用途に使用することができる。
・2種類の目的遺伝子の発現を同一細胞中で同時に調節する。
・直接的または簡便な測定法がない目的遺伝子の発現をレポーター遺伝子の共発現によりモニターする。
・レポーター遺伝子の発現をモニターして、誘導能が高くバックグラウンドが低いクローンのスクリーニングと選択を行う。
・Doxに対するレポーター遺伝子の発現に基づき、目的遺伝子の相対的発現レベルの情報を得る。
Tet-On 3G Inducible Expression System (mCherry)、
Tet-On 3G Inducible Expression System (ZsGreen1) などは、IRESテクノロジーを採用し、目的遺伝子の発現を高輝度赤色蛍光タンパク質または緑色蛍光タンパク質を指標として、発現制御が可能である。これによりDox添加による誘導効率の高いクローンの選択を容易に行うことができる。
Tet System Approved FBS
Tet-On 3G Systemを用いて最高の結果を得るために、必ず
Tet System Approved FBSを使用する。Tet-On 3G systemのドキシサイクリンに対する感度は非常に向上しているため、テトラサイクリン不含が保証された血清を使用することが、誘導実験を行う上でより重要となる。ClontechのTet System Approved FBSだけが、基底発現に影響を及ぼさないことを保証するために、実際に感受性Tet細胞株を用いた誘導試験確認が行われている。各Tet-On 3G Systemには、このTet System Approved FBS 50 mlが含まれている。
図1. PTRE3Gプロモーターは基底発現を減少させる
Tet-On 3G System、またはTet-On Advanced Systemを用いて、HEK293細胞にそれぞれ一過性に調節ベクターと応答ベクター(ルシフェラーゼ遺伝子を発現)をトランスフェクションした。細胞をDox+/-の状態で24時間培養し、ルシフェラーゼ遺伝子の発現を測定した。DoxなしではTet-On 3G Systemのバックグラウンドが非常に低いことが分かる(拡大図部分)。また、Doxありの条件下ではどちらのシステムでも非常に強い発現が確認できた。
図2. 一過性のコトランスフェクション実験(ルシフェラーゼでも、Tet-On 3G Systemは従来のTet-On Systemよりも非常に高い誘導倍率を示す
ルシフェラーゼ遺伝子は1 μg/ml Doxycyclineにより誘導した。Doxycycline処理後、18時間後にルシフェラーゼ活性の測定を行った。測定は三重測定で行った。
図3. Tet-On 3GはTet-On AdvancedよりもDoxに対する感度が向上している
誘導プロモーターからルシフェラーゼ遺伝子を発現する安定発現株HLF33の同じ部位に、Tet-On 3GおよびTet-On Advanced遺伝子を導入した。これらの二重安定発現株についてルシフェラーゼの誘導発現量をDox濃度を変えて測定したところ、5~10 ng/mlの範囲では誘導発現はTet-On 3G細胞で100~150倍高くなった。また、50 ng/mlでは発現量が4.6倍高くなった。(データはUniversity of Erlangen、W. Hillen教授およびDr. C. Berensのご厚意による)
図4. Tet-On 3Gはわずか10 ng/ml Doxにも高感度である
図5. 高いS/N比を示すTet-On 3G細胞株
各Tet-On 3G細胞株に応答ベクター(pTRE3G - Luc Vector:
PTRE3Gプロモーター制御下でルシフェラーゼ遺伝子を発現)を一過性にトランスフェクションした。細胞をDox+/-の状態で24時間培養しルシフェラーゼ活性を測定したところ、一過性のトランスフェクションであっても数千倍のS/N比を示した。
図6. Tet-On 3G Systemのベクター概略 用途
- 哺乳類細胞での目的遺伝子の発現誘導
- 毒性遺伝子の発現制御
- in vivoでの目的遺伝子の発現誘導