Mir-X miRNA qRT-PCR TB Green Kitは一本鎖cDNA合成とqPCR(定量PCR、リアルタイムPCR)を行うために必要な試薬を含むキットで、目的のmiRNAを正確に定量できる。200回または600回のqPCR反応が可能な経済的なキットであり、Mir-X miRNA First-Strand Synthesis KitとTB Green Advantage qPCR Premixから構成されている。
本キットでは、Poly(A) polymeraseとSMART MMLV Reverse Transcriptaseの混合液を最適化することにより、RNAサンプルから1ステップで一本鎖cDNAの合成が可能になった(図1)。さらに、miRNA特異的プライマーとキットに含まれるmRQ 3’プライマーおよびTB Green Advantage qPCR Premixを用いてリアルタイムPCRを行い、miRNAを定量する。一つのcDNAサンプルから、複数のmiRNAやmiRNAのターゲットとなるmRNAが測定可能で、また、50コピーから高感度にmiRNAを検出することができる。
図2では、相同性の高い8種類のLet7 miRNAバリアントを用いて本キットでの定量の特異性を確認した。酵母から精製したpolyA
+ RNAに、各Let7バリアントのmiRNAを個別にスパイクしてMir-X miRNA First-Strand Synthesis KitによりcDNAを合成した。各バリアントに特異的なプライマー(図2、パネルA)を用いて、それぞれのcDNAにおけるLet7サブタイプの定量を行った。各プライマーは配列相同性が高いにもかかわらず、Mir-X qPCRにより対応するバリアントそれぞれを特異的に検出する事ができた(図2、パネルB)。
図1. Mir-X MicroRNA Quantificationの操作の流れ
Poly(A) polymeraseとSMART MMLV Reverse Transcriptaseの混合液を最適化し、RNAサンプルから1本鎖cDNAの合成を1ステップ、1チューブで行う。さらにmiRNA特異的プライマーとTB Green Advantage qPCR Premixを用いてリアルタイムPCRを行いmiRNAを定量する。
【注意】miRNA特異的プライマーが別途必要。mature miRNA(21~23塩基)の全長配列をmiRNA特異的プライマーとして用いることを推奨する。その場合、miRNAの配列中のUの部分はTに変換する。miRNAの配列やターゲットの情報は、
miRBase(
http://microrna.sanger.ac.uk/)から取得できる。
図2. Let7 miRNAバリアントの特異的な増幅
パネルA:8種類のlet7バリアントの増幅用プライマー配列
パネルB:miRNA各バリアントをスパイクした酵母のpolyA
+ RNAからcDNAを合成した後、各プライマーでqPCRを行った。それぞれの特異的プライマーでの定量値を100とした時の数値を示している。64の組み合わせのうち63についてはoff-targetによる増幅は見られなかった。
【注】この実験は標準プロトコールに検討を加え、より特異性を高めた反応条件で行った。
クロンテックのマウス組織由来のTotal RNA(
Premium Total RNA(マウス))はmiRNA解析(cDNA合成、qPCR)にご利用いただけます。
(ヒト、その他生物由来のTotal RNA製品は精製工程が異なり、短鎖のRNAが含まれないためmiRNA解析にはお勧めしません)。