NucleoBond^® RS

近年の細胞治療や遺伝子治療、ワクチン製造の急速な進歩に伴い、高品質なプラスミドDNAの必要性が急速に高まっています。
mRNAベースのワクチンや遺伝子治療などのアプリケーションには、出発材料として高品質なプラスミドDNAが不可欠です。免疫システムに炎症反応を引き起こすグラム陰性菌の細胞壁成分であるエンドトキシンは、プラスミド精製過程で大腸菌などより大量に放出されるため、このエンドトキシンの除去が課題の一つとなっています。
本製品は、NucleoBond RSワークフローを採用することにより、エンドトキシンレベル≦0.01 EU/μg DNAを達成しており、医療用のプラスミドDNAに求められる厳しい規制基準を満たすことができます。また、NucleoBond RSカラムは、ペリスタポンプによる流量調節やÄKTAなどのFPLCシステムと組み合わせて、培養菌体からワクチングレードの高品質なプラスミドDNAを大規模に単離、精製できるように設計されています。本製品には4種類のサイズの異なるカラムが用意されており、プラスミドDNAの必要量に応じてカラムサイズを選択することが可能です。

表1．NucleoBond RSカラムで得られるプラスミドDNAの純度基準

	測定方法	基準
形状	アガロースゲル電気泳動 キャピラリー電気泳動	≧90％ スーパーコイル型
純度	UVスペクトル	A260/A280 1.8～2.0 A260/A230 1.9～2.3
エンドトキシンレベル	LAL試験／rFCアッセイ	≦0.01 EU/μg DNA
Host DNA	qPCR	≦1％
Host RNA	アガロースゲル電気泳動 蛍光色素による核酸定量	200 ng DNAを泳動時に非検出 ≦2％
Host Protein	BCA法	≦1％

図1．プラスミドDNAの最大収量
4種類のサイズ別NucleoBond RSカラムを使用して大腸菌から得られた精製プラスミドDNAの最大量を示す。


図2．精製プラスミドDNAにおけるスーパーコイルの含有率
遺伝子治療やワクチン製造などのアプリケーションには、プラスミドDNAがスーパーコイル状であることが望ましいとされており、90％以上がスーパーコイルであることが求められる。NucleoBond RSカラムで精製したプラスミドは、90％以上がスーパーコイルとなる。

表2．NucleoBond RSカラムで精製したプラスミドの品質
NucleoBond RSカラムで精製したプラスミドDNAは、エンドトキシンレベル0.01 EU/μg DNA以下、A260/A280　1.8～2.0、スーパーコイル（ccc）含有率90％以上という基準を満たしている。

NucleoBond RS 10（製品コード 743502）
NucleoBond RS 10 Column　　5本

NucleoBond RS 50（製品コード 743503）
NucleoBond RS 50 Column　　1本

NucleoBond RS 100（製品コード 743504）
NucleoBond RS 100 Column　1本

NucleoBond RS 200（製品コード 743505）
NucleoBond RS 200 Column　1本

【注意】
NucleoBond RS Columnシリーズはカラム単体の販売となっており、プラスミドDNAの精製に必要な酵素やバッファーは含まれておりません。酵素、バッファーは別途ご購入ください。

室温（15～25℃）
（RNase Aを添加したBuffer RES-EFは4℃で保存する。12ヵ月間安定）
※Buffer LYS-EFにはSDSが含まれているため、20℃以下で保存すると、沈殿が生じることがある。
沈殿が生じた場合は、30～40℃で数分間、ボトルを保温し、混合して溶解した後に使用する。

試薬

• Liquid RNase A（製品コード 740397）またはRNase A (lyophilized)（製品コード740505.30）


• Buffer RES-EF（製品コード 740386.1000／.3000）


• Buffer LYS-EF（製品コード 740387.1000／.3000）


• Buffer NEU-EF（製品コード 740388.1000／.3000）


• Buffer EQ-EF（製品コード 740380.1000／.3000）


• Buffer ENTO-EF（製品コード 740381.1000／.3000）


• Buffer WASH-EF（製品コード 740392.1000／.3000）


• Buffer ELU-EF（製品コード 740393.900／.3000）


• Buffer TE-EF（オプション）（製品コード 740797.1）


• H2O-EF（オプション）（製品コード 740798.1）

各Bufferの使用量の目安


製品名	製品コード	容量	使用回数の目安＊
			NucleoBond RS 10	NucleoBond RS 50	NucleoBond RS 100	NucleoBond RS 200
Buffer RES-EF	740386.1000	1,000 ml	15	3	1	-
	740386.3000	3,000 ml	46	9	4	2
Buffer LYS-EF	740387.1000	1,000 ml	15	3	1	-
	740387.3000	3,000 ml	46	9	4	2
Buffer NEU-EF	740388.1000	1,000 ml	15	3	1	-
	740388.3000	3,000 ml	46	9	4	2
Buffer EQ-EF	740380.1000	1,000 ml	28	8	3	2
	740380.3000	3,000 ml	85	24	11	7
Buffer WASH-EF	740392.1000	1,000 ml	28	6	3	1
	740392.3000	3,000 ml	85	19	9	5
Buffer ELU-EF	740393.900	900 ml	25	7	3	2
	740393.3000	3,000 ml	85	24	11	7
Buffer TE-EF	740797.1	1,000 ml	95	19	9	4
H2O-EF	740798.1	1,000 ml	95	19	9	4

＊各Buffer製品で処理できるカラムの個数の目安を示す
詳細なバッファーの使用量はこちらをご覧ください

イソプロパノール（ACS試薬グレードまたは分子生物学グレード）

96～100％エタノール（非変性、ACS試薬グレードまたは分子生物学グレード）

器具

• NucleoVac 96 Vacuum Regulator（推奨）（製品コード 740641）


• ペリスタポンプ（チューブ厚1.6 mm）
  流量：最小　10 ml/min （内径 1.6 mm チューブ）
  
  最大20 ml/min （内径 3.1 mm チューブ）
  圧力: 最大 3.5 kg/cm² （50 psi）、通常 18 psi
  
  【適合性確認済みのポンプとポンプヘッドの組み合わせの例】
  
  • Lead Fluid BT100 L＋YT15
  • Integra Biosciences DOSE IT Peristaltic Pump
  • Heidolph HeiFLOW Precision 01＋SP quick（SWS 1,6）


• PharMed BPT チューブ（推奨）（Saint-Gobain または同等品）
  推奨されるチューブ材料：　TPE製（pyrogen-free、滅菌済み）
  ※用途に応じて、 FDA USPなどの基準を満たしていることを確認してください。


• FPLC、HPLCシステム（例：ÄKTApureシステム）
  ※少なくとも10 ml/minの流量と 100 psiの最大背面圧が必要
  ※使用前にライセートの清澄化が必要


• ライセートろ過システム
  
  • NucleoBond Bottle Top Filter Type 2 （推奨）（製品コード 740553.5）
    
    1,000 mlまでのフロースルーに対応
    ※使用には吸引フラスコが必要
  
  
  • ペリスタポンプ対応のフィルターカートリッジ（20、5、0.45 μm）
    
    ※パイロジェンフリーが望ましい
  など

フィルターカートリッジ、チューブ、コネクターの詳細はユーザーマニュアルをご覧ください。

レンチウイルス/AAV IVT-RNA（mRNA など）などのアプリケーションの出発材料としての高品質プラスミドDNA精製
ワクチングレードの低エンドトキシン濃度（≦0.01 EU/μg DNA）プラスミドDNAの大規模調製

NucleoBondはマッハライ・ナーゲル社の登録商標です。
ÄKTAはCytiva社のトレードマークです。