Titanium One-Step RT-PCR Kitは、操作性のよいRT-PCRキットである。すべての反応を1本のチューブで行うため、クロスコンタミネーションの問題が生じない。本キットは簡便なだけではなく、非常に高い感度(図1)と効率(図2)を備えており、複数のサンプルでの遺伝子発現レベルの比較に理想的である。また、本キットは非常に高感度なため、RT-PCRを分析目的に使用する際にも高い信頼性が得られる。
改良ワンステップ法
従来法では逆転写反応とPCR反応を別ステップで行うため操作に時間を要し、サンプルのクロスオーバーやコンタミネーションの危険性もあった。一方Titanium One-Step RT-PCRでは、RTでのインキュベーションからPCRサイクリングまで、 チューブの開閉や試薬の添加を行わずに操作を続けることができる。Titanium One-Step RT-PCR Kitには、以下の特長がある。
・RNAの二次構造にまつわる問題を大幅に低減;
熱安定性の高い試薬により、逆転写反応を50℃で行うことができる。遺伝子特異的プライマーをこの温度で使用することで、逆転写反応の特異性が向上する。
・ホットスタートPCRによる特異性と感度の向上;
Titanium
Taq RT Enzyme MixにはTaqStart Antibodyが含まれ、ホットスタートPCRが可能である(1~3)。
複数のRNAサンプルで実験を行う場合に、1ステップRT-PCR法は最適な方法である。一方、単一RNAをソースとして複数のターゲットを増幅する場合には、逆転写反応を1回にまとめて行える2ステップRT-PCRが実用的である。2ステップ法の実験には、Advantage RT-for-PCR Kitの使用を推奨する。
図1. Titanium One-Step RT-PCRの優れた感度
異なる量のマウス肝臓由来total RNAを鋳型とし、Titanium One-Step RT-PCRを用いてβ-アクチン転写産物の増幅を行った。50℃で1時間逆転写後、40サイクルのPCRを行い、RT-PCR産物をEtBr/アガロースゲル電気泳動により解析した。使用した鋳型量は以下の通りである。
レーン1:1 μg レーン2:100 ng レーン3:10 ng レーン4:1 ng レーン5:100 pg レーン6:10 pg レーン7:1 pg レーン8:鋳型なし レーンM:DNAサイズマーカー
図2. Titanium One-Step RT-PCR Kitは他社の1ステップキットより高い効率を示す
Titanium One-Step RT-PCR Kitと他社製の2種類の1ステップキットを用い、各社が推奨する条件下で、ヒト胎盤由来のtotal RNA(1 μg)を鋳型として9種類のヒト転写産物を増幅した。RT-PCR産物はEtBr/アガロースゲル電気泳動により解析した。 レーンM:DNAサイズマーカー 内容
・Titanium Taq RT Enzyme Mix
・10× One-Step Buffer
・dNTP Mix
・Thermostabilizing Reagent
・GC-Melt
・Oligo(dT) Primer
・Recombinant RNase Inhibitor
・Control Mouse β-Actin Primers
・Control Mouse Liver Total RNA
・RNase-Free H2O
保存
-20℃