製品説明
TALON ヒスチジンタグ(Hisタグ)融合タンパク質精製レジンは、コバルトを用いた固定化金属アフィニティクロマトグラフィ(IMAC)レジンである。コバルトはニッケルよりもHisタグ融合タンパク質に対して高い特異性を示すため、Hisタグ融合タンパク質を高純度に精製することができる。加えてコバルトイオンは4配位で結合しているため、金属イオンの脱落の心配がない。
バクテリア、哺乳類、酵母、バキュロウイルス感染細胞などから、変性および未変性の両条件下でHisタグ融合タンパク質を高い純度で精製することができる。
コバルトを含む結合部位
TALON Metal Affinity Resinは結合部位にコバルトイオンを保持しており、コバルトイオンはHisタグ融合タンパク質に対して極めて高い特異性を有している。このコバルトを含んだTALONの結合部位は、ヒスチジンの空間的配置に対して厳密な要求性を持っており、ヒスチジンが連続した配列や、ヒスチジンが空間的に隣り合って並ぶ配列(6×HNタグ、HATタグなど)を持っているタンパク質のみがレジンに結合することができる。一方、ニッケルベースのレジン(Ni-NTAレジンなど)は、このような空間的要求性があまり厳密ではないため、タグだけではなく、ヒスチジンが不規則に並んだ配列も結合する。コバルトベースのTALONレジンはHisタグ融合タンパク質を極めて特異的に精製することができる。
均一なマトリックスによる金属イオンの保持
コバルトベースのレジンはニッケルベースのレジンより構造が均一である。TALONレジンには、陰イオンにチャージした三次元ポケット状の結合部位がある。このポケットの中で、3つのカルボキシル基と1つの窒素原子に、陽イオンのコバルト1分子が選択的に結合し、コバルトイオンは2つのヒスチジンと結合することができる。コバルトはこの立体構造によって強く結合しているため、レジンから漏出することはない。
一方、ニッケルイオンは2通りの配位構造を形成するため、ニッケルベースのレジンの構造はコバルトベースのレジンほど均一ではない。TALONと同様の三次元ポケットも形成するが、二次元構造(平面)も形成する。この歪んだ二次元構造では、ニッケルは2つだけのカルボキシル基と1つの窒素原子に結合している。この結合はあまり強固ではなく、ニッケルイオンを強く保持できないため、レジンからのニッケルイオンの漏出が起こる。
均一なマトリックスを形成するTALON Metal Affinity Resinは、種々の精製条件下で高い結合能力を持つため、確実にタンパク質を精製することができる。
図1. Hisタグ融合タンパク質に高い親和性と特異性を示すコバルトイオン独自の四座配位キレート剤を含むTALON Metal Affinity Resinを用いて、セファロースCL-6B(ファルマシア)に各金属イオンを固定化した。各樹脂からの溶出液20 μlを、12%ポリアクリルアミドゲルで電気泳動しCoomassie Blueで染色した。
図2. 変性条件下における6xHis-GFPuvの精製
TALON Resinを用いて8 M尿素存在下でHisタグ融合タンパク質を精製した。M:分子量マーカー
図3. TALON Resinを用いたβ-メルカプトエタノール(β-ME)存在下での6×His-DHFRの精製
パネルA:非変性条件での6×Hisタンパク質の精製。6×HisタグN末端融合マウスDHFR(19.5 kDa)を発現させた大腸菌ライセート2 mlを、TALON Resinを用いて、種々の濃度のβ-ME存在下で自然落下法にて精製した。偶数レーン:20 μlの非吸着画分 奇数レーン:5 μlの溶出画分
パネルB:非変性条件(β-ME存在下)で細胞抽出液から精製した組換え6×His-DHFRの収量をTALON ResinとNi-NTAで比較した。タンパク質濃度はBradfordアッセイにより測定した。収量は細胞ライセートの総タンパク質量に対する割合で示している。
図4. TALON Metal Affinity Resin
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図5. TALON 2ml Disposable Gravity Columns
TALON Metal Affinity Resinを充填して用いる空の使い捨てカラムである。 |
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TALON Metal Affinity Resin:4℃