NucleoSpin 96 DNA Stoolは、ヒトや動物の糞便中に含まれる細菌や上皮細胞から96ウェルフォーマットでゲノムDNAを抽出するためのキットである。このキットは手動によるマニュアル操作の他、各種の自動化装置にも対応可能である。抽出したDNAは細菌叢の解析やドナーのジェノタイピングなどに使用できる。
本製品には、MN Bead Tubes Type A(セラミックビーズ)が含まれており、簡単な操作で効率的に細菌や組織、細胞を破砕することができる。また、NucleoSpin Stool Filter Plateによりサンプル中の不純物を効果的に除去することができるため、カラムの目詰まりを起こさず安定に精製操作を行うことができる。
原理 | シリカメンブレン法 |
形状 | 96ウェルプレート |
操作 | 手動または自動化装置、吸引 |
サンプル量 | 100~200 mg |
サンプル由来 | 糞便(新鮮便、凍結便) |
回収量 | 3~15 μg |
溶出液量 | 100~200 μl |
精製時間 | 90分 |
図1. ラット糞便からのDNA精製
8種のラットの糞便からepMotion 5750プラットフォームでNucleoSpin 96 DNA Stoolを用いてDNAの精製を行い、その品質を確認した。青い棒が収量を、オレンジ色の点がA260/A280を示す。下図はDNAの電気泳動写真である。
すべての試料からのDNAでA260/A280が1.8付近となり、収量についても3~6 μgのDNAが得られ、NucleoSpin 96 DNA Stoolを用いることで高品質のDNAが得られることが分かった。
図2. ヒト糞便試料からのDNAを用いた16S rRNA遺伝子の増幅
6人のヒトの糞便試料から手動操作およびepMotion 5750プラットフォームで、NucleoSpin 96 DNA Stoolを用いてDNAの精製を行った(1試料につき4回精製)。得られたDNAを用いてバクテリアの16SrRNA遺伝子領域1.5 kbを増幅し、電気泳動で解析した。
すべての試料で精製方法にかかわらず、良好な増幅産物を確認でき、NucleoSpin 96 DNA StoolでPCR実験に使用可能なDNAを精製することができることが分かった。