※ 仕様変更のお知らせ
RetroNectin GMP grade(2.5 mg、製品コード T201)は、2018年2月より、現行の凍結乾燥品から液体製品(1 mg/ml、12.5 mM クエン酸ナトリウム・1.25% スクロース、pH6.2)へと変更になります。
本製品は、専用発注書にてお申し込みください。
なお、発送に関しては下記2種類から選択していただけます。
- 販売店経由
弊社販売店からお届けいたします。(輸送費無料)
- 直送(輸送時の温度モニタリングを希望される場合)
製品に校正済み温度記録計をセットのうえお届けし、後日、輸送時の温度記録をお送りいたします。受注確認から納品までに10営業日(通常、3~5営業日)程度のお時間をいただきます。
なお温度モニタリングをご希望される場合、ご注文の製品の合計金額に加え、本サービスの手数料(お届け先が日本国内の場合は50,000円、海外の場合は100,000円)および運送費(100,000円程度)のご負担をお願いいたしますこと、あらかじめご了承ください。運送費は、弊社が委託する業者より直接ご請求させていただきます。
RetroNectin GMP grade専用発注書(PDF) 製品説明
RetroNectin(リコンビナントヒトフィブロネクチンCH-296)
1)は、ヒトフィブロネクチンの細胞接着ドメイン(C-domain)、ヘパリン結合ドメイン(H-domain)およびCS-1部位の3種類の機能性ドメインを含む組換えタンパク質である。
RetroNectinはインテグリンVLA-4、VLA-5を発現している哺乳類細胞に対してレトロウイルスベクター
*1を介した遺伝子導入を行う際に有用である。VLA-4を発現している細胞はCS-1部位と、またVLA-5を発現している細胞は細胞接着ドメイン(RGDS 配列)と接着し、一方、ウイルスベクターはヘパリン結合ドメイン(Type III repeat, 12, 13, 14)に結合することによってRetroNectin上に共配置される。これにより、局所的に両者の濃度が高められ、遺伝子導入が促進されると考えられる(図1)。
タカラバイオでは、調製した組換えレトロウイルス液に含まれる感染阻害物質を除く方法を報告し、プロトコールの改良を行った
2)。
レトロウイルスベクターを介した遺伝子導入を行う際に、プロデューサー細胞から分泌されるプロテオグリカンやレトロウイルス包膜タンパク質などの物質が存在すると導入効率に影響を与える。従って、組換えレトロウイルスを感染させる時にはこれらの阻害物質を除いておくことが重要である。
従来法
*2(Supernatant感染法)では細胞とウイルスを混合してRetroNectinコートプレート上で感染させていたのに対し、改良法(RetroNectin-bound virus感染法)では組換えレトロウイルスを先にRetroNectinコートプレートに吸着させ、感染阻害物質を含むレトロウイルス液を除いた後に細胞を加え、感染させる。
RetroNectin法は、レトロウイルスベクターやレンチウイルスベクターを介する哺乳類細胞への遺伝子導入法として広く活用されている。
RetroNectin GMP gradeはGMPグレードのRetroNectinであり、PIC/S(医薬品査察協定及び医薬品査察共同スキーム)のGMPガイドラインに準拠し、製造および品質管理されている。そのため、
研究用として販売しているRetroNectin(製品コード T100A/B)より高品質であり、
ex vivoでの遺伝子治療や細胞調製等の臨床研究に使用可能である。
また、本製品は
2019年3月15日付で、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)のドラッグマスターファイル(Drug Master File: DMF)に登録されている(
弊社ニュースリリース)。再生医療等製品などの製造に求められる組換えタンパク質として高い品質を担保している。
*1 |
レンチウイルスベクターを介した遺伝子導入を行う際にも有用です。 |
*2 |
従来法でも十分な遺伝子導入効率を得ることができます。
また、改良法は適応範囲の広い方法ですが、標的細胞、ベクター、目的遺伝子によって条件検討が必要な場合もあります。 |
図1.フィブロネクチンとレトロネクチンの構造およびレトロネクチンでの遺伝子導入のモデル図
ラーニングビデオ
RetroNectinを用いた遺伝子導入をビデオ(英語)で分かりやすくご紹介しています。
詳細はこちらをご確認ください。
保存
-30℃以下
起源
E. coli expressing human fibronectin fragment CH-296
形状
1 mg/ml、12.5 mMクエン酸ナトリウム・1.25%スクロース、pH6.2
包装形態
2.5 mg/2.5 mlのタンパク質溶液を5 mlのガラスバイアルで包装
分子量
62,617(アミノ酸配列より算出、574アミノ酸)
純度
HPLCにて純度90%以上
使用上の注意
・無菌的な環境下で作業してください。
・融解したRetroNectin溶液は室温放置で12時間以内に使用してください。
・一旦融解したRetroNectin溶液の後日の再利用は避けてください。
品質について
- RetroNectin GMP gradeは、PIC/S(医薬品査察協定及び医薬品査察共同スキーム)のGMPガイドラインに準拠し、製造および品質管理されています。
- 本製品の製造工程には、ヒトおよび動物由来原料を使用しておりません。
- 本製品は米国FDA内CBER(Center for Biologics Evaluation and Research)のBiologics Master File (BB-MF) # 18898に登録されています。
備考
RetroNectin法は、レトロウイルスベクターやレンチウイルスベクターを介する哺乳類細胞への遺伝子導入法として広く活用されているが、さらに、Tリンパ球の培養を増強する効果が確認された。
T細胞の拡大培養は、通常、抗CD3抗体刺激によりインターロイキン-2(IL-2)の存在下で行う。このときRetroNectinを共存させることで拡大培養効率が格段に増大する(実験例参照)。また、得られたT細胞集団中には未分化な細胞であるナイーブT細胞が多く含まれる。ナイーブT細胞は、抗原提示を受け細胞傷害性T細胞に分化する能力をもつ。