製品説明
エンドポイントPCRにおいて、特に食品・環境検査など同じPCR反応を繰り返し行う場合に、キャリーオーバーによる偽陽性が生じる危険性が高い。本製品は、継続的に使用することにより、このようなキャリーオーバーによる偽陽性を防止するための製品である。
本製品では、dTTPの代わりにdUTPを基質として用いて、ホットスタートPCR酵素TaKaRa Taq HSによる増幅を行う。PCR反応液調製後、ウラシルを含むDNAを分解する酵素であるUNG(Uracil - N - glycosylase)を作用させると、ウラシルを含む前段階におけるPCR産物はUNGにより分解されるが、あらたに加えられた鋳型は分解されないため、キャリーオーバーの影響を受けずにPCR増幅を行うことができる。
UNGによる分解
UNGによる分解は次のように起こる。PCR前の25℃、10分の反応で、PCR反応液に混入しているウラシルを含むPCR産物のデオキシリボースとウラシル塩基の間のN- グリコシド結合がUNGにより加水分解され、脱ピリミジン部位が生じる。続いて95℃、2分の熱処理により、UNGが失活すると同時に混入DNA断片は脱塩基部位でリン酸バックボーンの加水分解により、切断、分解される。UNGは、一本鎖と二本鎖のウラシルを含むDNAを加水分解するが、RNAに対しては作用しない。
内容
R013S(50回分、PCR 50 μl反応系)
1. | TaKaRa Taq HS(5 U/μl) | 12.5 μl |
2. | 10×PCR Buffer for UNG plus*1(10×) | 250 μl |
3. | dU plus dNTP Mixture*2(12.5×) | 200 μl |
4. | UNG(2 U/μl) | 25 μl |
R013A(200回分、PCR 50 μl反応系)
1. | TaKaRa Taq HS(5 U/μl) | 50 μl |
2. | 10×PCR Buffer for UNG plus*1(10×) | 1 ml |
3. | dU plus dNTP Mixture*2(12.5×) | 800 μl |
4. | UNG(2 U/μl) | 100 μl |
*1 | | Mg2+濃度:22.5 mM(10×)
本製品は、dUTP がdTTPの3倍濃度に設定されているため、全体的にdNTP濃度が高くなる。MgCl2とdNTPの量のバランスを保つため、通常のTaKaRa Taq Hot Start Version(製品コード R007A)に添付の10×PCR Buffer(Mg2+ plus)よりMg2+濃度が高くなっている。 |
*2 | | dU plus dNTP Mixture:以下の組成の水溶液(ナトリウム塩)である。
dUTP 7.5 mM
dATP 2.5 mM
dGTP 2.5 mM
dCTP 2.5 mM
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保存
-20℃