dsRNA GoStix Plusは、mRNAの
in vitro transcription(IVT)合成反応で生じる二本鎖RNA(dsRNA)をdsRNA特異的な抗体を用いて定量するイムノクロマトベースの測定キットです。ELISA等の従来法に比べて迅速かつ簡便であり、サンプル間のdsRNA量の比較を容易にします。
本製品は、mRNA製品の安全性評価、製造工程の効率化、およびmRNA製造における研究開発・プロセス開発を支援するツールとして有用です。
操作は非常で簡便で、20 μlのサンプルをGoStix Plusカセットに滴下すると、約10分後にdsRNA量に応じた検出バンドとコントロールバンドが出現します。出現したバンドを専用のスマートフォンアプリ
*1で撮影・解析することで、ロット固有の検量線に基づき濃度(Poly I:C(ng/ml)に相当するGoStix Value(GV))が定量的に算出されます(図1)。あらかじめ既知濃度の標準サンプルを用いて、GVと実際の濃度との換算係数を求めておくことで、未知サンプルのdsRNA濃度を算出することもできます。
キットにはコントロール(Poly I:C)が含まれており、キットが正常に機能していることを確認できます。
*1 スマートフォンアプリのダウンロードや使用法に関しては(
Q&Aページ)をご参照ください。
dsRNA GoStix PlusによるdsRNA量の測定では、専用のGoStix PlusアプリでGoStixカセットをスキャンし、テストバンドとコントロールバンドの画像を取り込み、各バンドの強度を測定して計算した結果をGoStix Value(GV)として表示します。ただし、GVはPoly I:C標準曲線に基づくPoly I:C換算値(ng/ml Poly I:C equivalent)です。
GVはサンプル中のdsRNA量と相関する指標として利用できますが、目的dsRNAの実際の濃度を直接示すものではありません。GVはdsRNAの鎖長や化学修飾によって変動する可能性があります。そのため、実際のdsRNA濃度(ng/ml)を算出する場合は、あらかじめ濃度既知のdsRNA標準サンプルまたは目的dsRNA標準品を測定し、GVとの相関関係(換算式など)を作成した上で、未知試料のGVを実濃度へ換算する必要があります。
GVからの濃度換算には、dsRNA GoStix Plus calculatorが便利です。
dsRNA GoStix Plus calculator
dsRNA GoStix Plusによる測定で得られたGV(GoStix Value)から、サンプル中のdsRNA濃度を推定するためのオンライン計算ツールです。基準となる既知濃度の標準サンプル(最大3サンプル)のGVとdsRNA濃度を入力し、テストサンプルのGVを入力すると、自動的にサンプルのdsRNA濃度が算出されます。
図1.dsRNA GoStix Plusの操作手順と検出原理
サンプルをカセットに添加すると、金ナノ粒子(AuNP)で標識したJ2抗dsRNA抗体複合体(J2-gold nanoparticle complex)がサンプル中のdsRNAに結合する。形成された複合体は毛細管現象によって移動し、テストライン(T)に固定化されたK1抗dsRNA抗体に捕捉されることで発色シグナルを生じる。発色強度はサンプル中のdsRNA量に比例する。余剰のJ2抗体-AuNP複合体はさらに移動し、コントロールライン(C)に固定化されたウサギ由来抗マウス抗体に捕捉されて発色する。Cのシグナルは、アッセイの正常な作動確認およびシグナル正規化のための内部コントロールとして利用される。
表1.dsRNA GoStix Plusの性能仕様
| 検出範囲 | 6.25~125 ng/ml(Poly(I:C)換算) |
| 相関係数(R2) | >0.970 |
| 変動係数(CV) | <20% |
図2.dsRNA GoStix PlusおよびELISAによるIVT 合成mRNA中のdsRNA濃度の測定
Takara IVTpro T7 mRNA Synthesis Kit(製品コード 6144)に付属のFLuc陽性コントロールテンプレートからIVT反応によってmRNAを合成し、dsRNA GoStix PlusおよびJ2抗体を用いたELISAキットを用いてdsRNAを測定した。その結果、GoStix Plus(A)ELISA(B)は、いずれも良好な濃度依存性を示した。ELISAでは測定に約4時間を要したのに対し、GoStix Plusでは約10分でdsRNA の測定が完了した。
図3.dsRNA GoStix Plusを用いたdsRNA定量におけるdsRNA鎖長、および化学修飾の影響
dsRNA GoStix Plusを用いて、dsRNAの鎖長(142 bp、700 bp、1 kb)および化学修飾(m1Ψ、Ψ)が検出シグナルに及ぼす影響を評価した。各種dsRNAをSTE bufferで段階希釈し、20 μlをGoStix Plusカセットに添加後、80 μlのdsRNA Chase Bufferを加えた。10分間反応させた後にカセットをスキャンし、GoStix Valueを取得して解析した。その結果、dsRNAの長さおよび化学修飾の違いがGoStixシグナルに影響を与えることが示された。