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Q1 プラスミドベクターへのクローニングには、どのライゲーションキットを用いればよいか?
A1 標準的なプラスミドベクターへのライゲーションには、
DNA Ligation Kit< Mighty Mix >(製品コード 6023)をお勧めします。本キットは、粘着末端はもちろん、高い効率を得ることが難しい平滑末端クローニングやT-Vectorへのクローニングにおいても、従来品(Ver. 1、Ver.2. 1)に比べて同等以上の高い効率が得られます。また、酵素、バッファーを含む1液タイプのプレミックス試薬なので、迅速かつ簡便にライゲーション反応が行えます。
Q2 DNA Ligation Kit Ver. 1とVer. 2とはどのような違いがあるか?
A2 大部分のライゲーション反応において、Ver. 2はVer. 1より反応液量を1/3~1/5と少量に抑えることができます。ライゲーションの効率は同等です。
Q3 PCR産物のクローニングには何がお勧め?
Q4 クローニングが可能なインサートは何kbまで?
Q5 TaKaRa DNA Ligation Kit LONGは、短いDNAのライゲーションにも使用できるか?
A5 はい。TaKaRa DNA Ligation Kit LONGは、インサートDNAが数kb以下の場合でも他のライゲーションキットと同等以上の効率を示します。ただ、本キットは標準反応時間が長く、プレミックスタイプの製品ではありませんので、短鎖DNAのライゲーションには迅速・簡便にライゲーションができるDNALigation Kit <Mighty Mix>をお勧めします。
Q6 TaKaRa DNA Ligation Kit LONGでBAC Libraryは作製できるか?
Q7 DNA Ligation Kit <Mighty Mix>で、反応条件を変えた方がよい場合はあるか?
A7 DNA Ligation Kit<Mighty Mix>の標準反応時間は16℃、30分です。ほとんどのライゲーション反応では、この条件で効率よくライゲーションが可能です。平滑末端ライゲーションなどライゲーションが起こりにくい場合には、反応時間を数時間から一晩に延ばすことで改善する場合があります。また、比較的ライゲーションが簡単な突出末端ライゲーションなどで反応時間を短縮したい場合には、25℃、5分の高速プロトコールでも、16℃、30分の標準プロトコールと同等の効率が得られます。
Q8 ベクターを脱リン酸化している場合、インサートDNAとどのようにつながり、環状化されるのか?
A8 アルカリホスファターゼで脱リン酸化したプラスミドベクターは、インサートDNAの5’末端リン酸基で片側の鎖のみが連結され、大腸菌導入後、大腸菌のDNA修復機構でつなぎあわされてプラスミド状態で保持されます。
Q9 DNA Ligation Kitで反応後、反応液をエタノール沈殿する際、通常通り塩(NaCl等)を加える必要があるか?
A9 DNA Ligation Kit(Ver. 1、Ver. 2.1、Mighty Mix、 LONG)で反応後は、通常通り塩(NaCl終濃度150 mM、酢酸アンモニウム終濃度2 M、酢酸ナトリウム終濃度300 mM)を加えてから、エタノール沈殿を行ってください。
Q10 制限酵素反応後の溶液をそのままLigation Kitの系に持ち込むことができるか?
A10 エタノール沈殿してからTEバッファーに溶解し直す方が望ましいでしょう。逆にライゲーション後の反応液を制限酵素処理する場合にもエタノール沈殿してから反応を行ってください。
Q11 エレクトロポレーションにより形質転換する時、ライゲーション反応液をそのまま使用できるか?
A11 効率が低下する場合がありますので、そのままエレクトロポレーションには使用できません。エタノール沈殿等のバッファー交換をしてからエレクトロポレーションにご使用ください。
Q12 クローニングに用いるコンピテントセルは何がよいか?
A12 通常のプラスミドベクターへのクローニングには、形質転換効率の高いK12株由来の大腸菌をご使用ください。プラスミドを安定に保つrecAなどの組換え能欠損、プラスミドの純度に影響を与えるendAなどのエンドヌクレアーゼ欠損を持つ大腸菌が適しています。青/白スクリーニングを行う場合は、lacZ M15を持つJM109、DH5αなどがよく用いられます。HST08 Premium、HST02、Supercharge EZ10は、上記の遺伝子型に加えてメチル化DNAを切断する遺伝子群mrr, mcrBC, hsdRMS, mcrAを完全に欠失しているため、メチル化されたDNAのクローニングにも最適です。HST08PremiumおよびSupercharge EZ10は、さらにF-であり、BACライブラリーの作製にも利用できます。なお、発現用の宿主(BL21など)は一般的に形質転換効率が低くrecA、endAの欠損株でもないため、クローニング用の宿主には適していません。
Q13 DNA Blunting Kit(製品コード 6025)中のLigation Solution A液、B液は、DNA Ligation Kit <Mighty Mix>で代用できるか?
A13 DNA Blunting Kit(製品コード 6025)中のLigation Solution A液、B液は、DNA Ligation Kit Ver. 1と同じ組成です。DNA Ligation Kit <Mighty Mix>はVer. 1よりも反応スケールを落とすために、DNA溶液と等量の Ligation Mixを混合するように設計されています。そのため、DNA溶液の組成による影響を受けやすく、DNA Blunting Kit中の Ligation Solution A液、B液の代りにLigation Kit <Mighty Mix>を使用するとライゲーションされないことがあります。<Mighty Mix>をお使いになる際は、DNA溶液を一旦フェノール抽出、エタノール沈殿させてから反応に供して下さい。
Q14 DNA Ligation Kit <Mighty Mix>を用いてコスミドにライゲーションするときの方法は?
A14 通常のプラスミドのようにコンピテントセルで形質転換を行う場合は、取り扱い説明書中の「【1】プラスミドベクターに外来DNAを挿入する場合」に従って操作してください。ただしパッケージングを行う場合は「【5】λファージベクターに外来DNAを挿入する場合」に従ってください。
Q15 タカラバイオではクロンテックのIn-Fusion PCR Cloning Kitも販売しているが、どのように使い分けるのか?
A15 In-Fusion HD Cloning Kitをはじめ、クロンテックのIn-Fusionキットは、独自のIn-Fusion酵素を利用するディレクショナルクローニングに便利なキットです。DNA末端に相同な15塩基があれば、どのような配列でもシームレスに融合して結合できるので、適切な制限酵素サイトが存在しない、余分な配列を一切付加したくない、サブクローニングなしで発現用ベクターに直接クローニングしたい、複数のDNA断片を正しい順番でクローニングしたいなど、通常のライゲーション反応では困難な場合にも対応が可能です。ライゲーション反応に比べて形質転換効率は1~2桁程度低くなりますが、得られた形質転換体は高い確率で意図した方向に適切にクローニングされています。クローニングを行う対象が適切な制限酵素サイトを有する場合やディレクショナルクローニングに拘らない場合には、効率の良い通常のライゲーション反応で十分ですが、上記のような問題がある場合にはIn-Fusionキットの利用もあわせてご検討ください。