製品説明
本製品は、
Chaperone Plasmid Set(製品コード 3340)に含まれる5種類のシャペロンプラスミドでそれぞれ形質転換した大腸菌BL21株のコンピテントセルである。
本製品に保持されている4種類のプラスミド(pG-KJE8、pGro7、pKJE7、pG-Tf2、pTf16)はタンパク質の折りたたみに共同して働くことが知られている複数の分子シャペロンがそれぞれ一つのプラスミド上にコードされ、シャペロンチームとして効率よく発現するように設計されている。これらのシャペロンチームのいずれかと目的タンパク質を共発現させることにより、発現タンパク質の可溶化を促進することができる。
大腸菌BL21株は、
lonプロテアーゼ、
ompT外膜プロテアーゼを欠損したB株由来の菌株である。発現タンパク質の安定性の向上が期待できるため、組換えタンパク質の発現に広く用いられている。
通常、シャペロンプラスミドを用いて目的タンパク質とシャペロンチームとの共発現を行うには、まずシャペロンプラスミドで宿主大腸菌を形質転換し、得られた形質転換体を用いてコンピテントセルを作製し、更に目的タンパク質を発現するプラスミドを用いて形質転換を行う必要がある。
本製品は、あらかじめシャペロンプラスミドで形質転換したBL21株から調製したコンピテントセルであるため、一度の形質転換で簡単に目的タンパク質とシャペロンチームとの共発現大腸菌を得ることができる。シャペロンプラスミドを保持する5種類のコンピテントセルの他、コントロール用として、シャペロンプラスミドを含まないBL21株のコンピテントセルも用意している。
本製品は、特に、コールドショック発現ベクターpCold DNAシリーズ(製品について詳しくは
「コールドショック発現系について」参照)との組み合わせで高い効果が期待できる。
なお、本製品の宿主に用いているBL21株はT7 RNA Polymeraseを発現していないため、pETシステムなどのT7プロモーターを利用した発現系には使用できない。
注):本製品は、エレクトロポレーションには使用できません。
内容
●Chaperone Competent Cells BL21 Set(製品コード 9120)
●Chaperone Competent Cells pG-KJE8/BL21(製品コード 9121)
●Chaperone Competent Cells pGro7/BL21(製品コード 9122)
●Chaperone Competent Cells pKJE7/BL21(製品コード 9123)(終売しました)
●Chaperone Competent Cells pG-Tf2/BL21(製品コード 9124)
●Chaperone Competent Cells pTf16/BL21(製品コード 9125)
●TaKaRa Competent Cells BL21(製品コード 9126)
製品コード 9121-9126の内容
1. | コンピテントセル |
| 100 μl×10本 |
2. | pUC19 DNA (0.1 ng/μl) | 10 μl |
3. | SOC Medium* | 1 ml×10本 |
* SOC Mediumの組成
2% | | Tryptone |
0.5% | Yeast extract |
10 mM | NaCl |
2.5 mM | KCl |
10 mM | MgSO4 |
10 mM | MgCl2 |
20 mM | Glucose |
【ご注意】
SOC Mediumを溶かした際に、稀に沈殿が生じる場合がありますが、品質には全く問題ありません。
沈殿が生じた場合は、室温で混ぜるかもしくは37℃で数分間温めて沈殿を溶かしてご使用ください。
保存
-80℃
シャペロンプラスミド概略図
<利用できる発現用プラスミド>
シャペロンプラスミドはpACYCの複製起点およびクロラムフェニコール耐性遺伝子 (Cm
r遺伝子) を利用しているため、最もよく利用されているColE1タイプのアンピシリン耐性遺伝子をマーカーとした発現用プラスミドが使用できる。各シャペロン遺伝子は
araB あるいは
Pzt-1(
tet) プロモーター下流に配置されており、目的遺伝子を
lac など、他のプロモーターのコントロール下におけば、目的タンパク質とシャペロンを別々に誘導することが可能である。各プロモーターに必要なコンポーネント (
araC あるいは
tetR ) はプラスミド上に配置されている。ただし、クロラムフェニコール耐性遺伝子を含む発現プラスミドと組み合わせては利用できない。
本製品は、特にコールドショック発現ベクターpCold DNAシリーズ(製品について詳しくは
「コールドショック発現系について」参照)との組み合わせで高い効果が得られる。
また、本製品の宿主に用いているBL21株はT7 RNA Polymeraseを発現していないため、pETシステムなどのT7プロモーターを利用した発現系には使用できない。
DNAのシーケンスデータ
Genotype
E.coli BL21:F-, ompT, hsdSB(rB-mB-), gal, dcm
使用上の注意
本製品のうち、Chaperone Plasmid pG-KJE8、pGro7、pKJE7、pTf16を保持する大腸菌には
Salmonella typhimuriumの
araBプロモーターおよび
araC遺伝子が含まれる (製品コード 9120, 9121, 9122, 9123, 9125)。これらは、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」の遺伝子組換え生物等に該当する。使用に際しては、「研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置を定める省令」 (平成16年文科省・環境省令第1号) および組織内の安全委員会の指示に従ってください。
Chaperone Plasmidおよびその関連製品は、研究目的のみの使用に限定しています。スクリーニングや生産など商用目的での使用にあたっては、別途、弊社との間で商業利用契約の締結が必要です。また、同製品を許可なく改変したり、プラスミド調製のために使用することを禁じます。詳細は下記までお問い合わせ下さい。
タカラバイオ(株) 営業推進部
TEL:077-565-6972 FAX:077-565-6987
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コールドショック発現ベクター 製品ガイド