製品説明
StemFit AK02Nは、多能性幹細胞培養のための動物由来成分を含まない研究用培地である(ヒト由来成分は含有)。フィーダーフリー条件で、未分化状態のヒトiPS細胞やヒトES細胞を、簡便、安定に増殖できる。プレートコーティング剤として、iPS細胞の培養では、
iMatrix-511または、Vitronectinが使用可能であり、ES細胞の培養では、
iMatrix-511が使用可能である。
StemFit AK02Nを用いて、iPS細胞のクローニング(
参考文献1, 2)や、外胚葉(
参考文献3)、中胚葉(
参考文献4)、内胚葉(
参考文献5)への分化が可能である。
プレートコーティング剤(実績有り)
・
iMatrix-511(製品コード 892011)
・Vitronectin(Thermo Fisher Scientific社 Code A-14700)
内容
StemFit AK02N
A液 | : | 400 ml |
B液 | : | 100 ml |
C液 | : | 2 ml |

StemFit AK02N
保存
A液:2~8℃
B液:-20℃以下
C液:-20℃以下
培地調製
- B液を室温で1~2時間、または4℃で一晩かけて解凍する。C液は培地調製前に室温で完全に解凍する。
【注意】B液、C液の37℃、ウォーターバスでの急速解凍は、培地成分が劣化するため行わない。
- C液全量をB液ボトルに加えた後、全量をA液ボトルに加え、十分に混合する。
【注意】
- 全ての溶液は、無菌充填済みであり、無菌環境下(安全キャビネット内)で混合する。フィルター滅菌は不要である。
- 培地調製後は4℃で遮光保存し、2週間以内に使用する。4℃から取り出した培地は約1時間、室温に置いてから使用する。
- 混合調製後の培地は適切な滅菌容器(例:50 mlチューブ)に分注し、-20℃以下(-80℃保存を推奨)で凍結保存することも可能である。必要量だけ室温で解凍後、使用する。一度凍結した混合溶液は、解凍後、再度凍結すると成分が劣化するため、使用期限内に使い切る。
キット以外に必要な試薬
コーティング剤:
iMatrix、Vitronectin
継代用試薬:Y-27623(ROCK inhibitor)、PBS(-)、TrypLE Select
201B7株オンフィーダーiPS細胞をフィーダーフリー条件にて培養する場合、CTK溶液(2.5% trypsin 5 ml、1 mg/ml collageneIV 5 ml、0.1 M CaCl2 5 mlおよびKSR 10 mlをdistilled water 30 mlに添加して調製)の準備が必要
細胞凍結保存用試薬:
STEM-CELLBANKER GMP grade アプリケーションデータ
膵内分泌細胞への分化
図1.StemFit AK02Nで培養したiPS細胞からの膵内分泌細胞への分化
StemFit AK02N培地およびiMatrix-511を用いて、1231A3株iPS細胞を維持し、75,000 cells/cm2で播種後、上記プロトコールを用いて23日間培養した。
- 培養後13日の膵前駆細胞(PP)および23日の膵内分泌細胞(EC)に対し、qPCRにてOCT-4、PDX-1、INS発現の評価を行った(n=3)。遺伝子発現はヒト膵島での発現量を1とした相対値で表した。
- 免疫染色を用いてinsulin発現の評価を行った。
参考文献:Shahjalal HM et.al J. Mol. Cell Biol. 2014 Oct;6(5):394-408.
心筋細胞への分化
図2.StemFit AK02Nで培養したiPS細胞からの心筋細胞への分化
StemFit AK02N培地およびiMatrix-511を用いて、201B7株iPS細胞を維持し、プレートに播種後、上記プロトコールを用いて心筋細胞を作製し、21日後に各種評価を行った。
- FACSを用いてcTNT陽性細胞率を測定した。
- 免疫染色を用いてα-actinin発現を評価した。Scale bar:100 μm。
- MED-64を用いて細胞外電位を測定した。Day 21の細胞をfibronectinコートした電極上に接着させ、細胞外電位シグナル、Inter spike interval、Field Potential Duration (FPD)を測定した。
* 本データは株式会社iPSポータルにおいて取得、解析されたものです。
参考文献:Miki et al, Cell Stem Cell, 16, 699, 2015
神経系細胞への分化
図3.StemFit AK02Nで培養したiPS細胞からの神経系細胞への分化
StemFit AK02N培地およびiMatrix-511を用いて、201B7株iPS細胞を維持し、5,000 cells/cm2で播種後、dual SMAD inhibition法を用いて神経幹細胞へ分化誘導を行った。さらに誘導した神経幹細胞をbFGFを除いた条件で17日間培養し、神経細胞へ誘導した。
- SYNAPSIN、NEUROD1発現をqPCRにて評価した。
- 免疫染色によりMAP2の発現を確認した。
Scale bar=200 μm PO:Poly-Ornithine、L:Laminin、P:Passage n=3
参考文献:Chambers SM et.al Nat Biotechnol. 2009 Mar;27(3):275-280.一部改変
EB形成
参考文献:
Status of KRAS in iPSCs Impacts upon Self-Renewal and Differentiation Propensity.
Kenji K, et al. Stem Cell Reports. 2018 Aug 14;11(2):380-394.
関連情報
StemFitと各種試薬・ツールの組み合せ事例集をご覧いただけます。
- プロトコール
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注意事項
本製品は「研究用試薬」です。医療用(臨床研究を含む)・臨床診断用・食品用として使用しないでください。