SMART-Seq^® v4 Ultra^® Low Input RNA Kit for Sequencing

SMART-Seq v4 Ultra Low Input RNA Kit for Sequencingは、1細胞、あるいは微量のtotal RNAからRNA-Seqライブラリー作製用のcDNAを最も高感度に調製できる、第四世代のSMARTer Ultra Low Kitである。本製品は、従来のSMART（Switching Mechanism At 5’End of RNA Template）技術にLNA（Locked Nucleic Acid）技術とSMART-Seq2法＊1を取り入れて進化させた最新のSMART技術を用いている。最新SMART技術とsingle-cell mRNA-seqに対する多くの経験により、本製品はSMART-Seq2法や従来のSMARTer Ultra Lowキットに比べて、より多くの遺伝子配列の同定が可能となっている。わずか1～1,000個の細胞、あるいは10 pg～10 ngのtotal RNAから直接cDNA合成を行い、高感度に全長cDNAの調製を行うことができる。さらにGC含量が高い配列も含めて高い遺伝子カバー率、高い再現性が得られる。本キットで作製したcDNAは、イルミナ社シーケンサー、Ion Torrentシーケンサーのいずれにも適用可能である。ライブラリー作製には、SMART-Seq v4 PLUS Kitに含まれるSMART-Seq Library Prep Kit、イルミナ社のNextera XT DNA Library Prep kit、あるいはIon Xpress Plus Fragment Library Kit（Thermo Fisher Scientific社）が利用できる。

＊1 SMART-Seq2法はラドウィックがん研究所で開発された技術で、SMART法にLNA（Locked Nucleic Acid）を導入して特異性を向上させることにより、高感度な遺伝子発現解析を行う方法である。
Picelli et al. (2013) Nature Methods 10,1096–1098.

表1.　SMART-Seq v4 Kitの感度とマッピング精度（mappability） SMART-Seq v4 Kit、またはSMARTer Ultra Low v3 Kitを用いて各10 pgのマウス脳total RNAよりライブラリーを作製した。cDNA増幅のためのPCRは、SMART-Seq v4 Kitでは17サイクル、SMARTer Ultra Low v3 Kitでは18サイクルで実施した。Nextera XT DNA Library Prep Kitを用いてRNA-Seqライブラリーを作製し、Illumina社 MiSeqでシーケンスを行った。
SMARTer v3に比べてSMART-Seq v4の方が、約30％多く遺伝子を検出できた。

図1．低input量における再現性
SMART-Seq v4 KitまたはSMARTer Ultra Low v3 Kitを用いて各10 pgのマウス脳total RNAより2連のライブラリーを作製し、各ライブラリーのFPKMs（Fragments Per Kilobase Of Exon Per Million Fragments Mapped）の相関性を比較した。
全プロットの比較（右図）では、どちらも高い相関性（Pearson R between 0.911、0.972)を示した。しかしながら、FPKM＜100（左図）を比較すると、SMARTer Ultra Low v3（Pearson R = 0.376；図A）に比べてSMART-Seq v4 Kit（Pearson R＝0.739；図B）は明らかに高い値を示した。


図2．SMART-Seq v4 PLUS Kit（終売）とNextera XTとの比較
Panel A．SMART-Seq v4 Kitを使用して10 pgのマウス脳total RNAから3連でcDNAを作成した。次に、SMART-Seq v4 PLUS Kit（終売）に含まれるSMART-Seq Library Prep KitまたはNextera XT Kitを使用して、Illumina社シーケンサー用のライブラリーを調製した。ライブラリーを4M paired-endリードにノーマライズし、NextSeq500でシーケンスを行った。
Panel B．SMART-Seq v4 PLUS Kit（終売）はNextera XTより高収量のライブラリーが得られた。
Panel C．SMART-Seq v4 PLUS Kit（終売）は、Nextera XTと比較してより多くの遺伝子が同定できた。
Panel D．マップされたリードの割合は、2つのライブラリー調製キット間で類似していた。
Panel E．SMART-Seq v4 PLUS Kit（終売）またはNextera XTキットで調製された3連のcDNA（A―C）から得られたTPM値からピアソンとスピアマンの相関値を計算した。

SMART-Seq v4 Ultra Low Input RNA Kit for Sequencing（製品コード 634888～634893）

Package 1
　　Control Total RNA
Package 2
　　SMART-Seq v4 Oligonucleotide (48 μM)
　　PCR Primer II A (12 μM)
　　5X Ultra Low First-Strand Buffer
　　SMARTScribe Reverse Transcriptase (100 U/μl)
　　3’SMART-Seq CDS Primer II A (12 μM)
　　RNase Inhibitor (40 U/μl)
　　Nuclease-Free Water
　　10X Lysis Buffer
　　Afa I　(10 U/μl)
　　10X AfaI Buffer（製品コード 635013）
　　Elution Buffer (10 mM Tris-Cl, pH 8.5)
　　0.1％ BSA
SeqAmp DNA Polymerase（製品コード 638504、638509）
　　SeqAmp DNA Polymerase
　　SeqAmp PCR Buffer（2X）

SMART-Seq v4 Ultra Low Input RNA Kit for Sequencing （製品コード 634888～634893）
Control Total RNA：－70℃
その他のコンポーネント：－20℃
（10X Lysis Buffer： 融解後は4℃保存、Elution Buffer：融解後は室温保存）

下記の製品は本キット中に含まれません。下記の製品はユーザーマニュアルに記載のProtocolで使用できることが確認されています。他製品では代替はできないため、ご注意ください。

PCR増幅およびバリデーション：
・First-Strand cDNA 合成専用のPCRサーマルサイクラー
・Double-Strand cDNA 増幅専用のPCRサーマルサイクラー
・High Sensitivity DNA Kit（Agilent社 Code 5067-4626）
・Nuclease-free thin-wall PCR tube（0.2 ml；USA Scientific社 Code 1402-4700）
・Nuclease-free low adhesion 1.5 ml tube（USA Scientific社 Code 1415-2600）またはLoBind tube（Eppendorf社 Code.022431021）

SPRI Bead精製：
・Agencourt AMPure PCR Purification Kit（5 ml Beckman Coulter社 Code A63880 ; 60 ml Beckman Coulter社 Code A63881）－増幅cDNAの精製に使用する
・Small volume用Magnetic stand
・100％ Ethanol

シーケンスライブラリー作製：
使用シーケンスシステムにより必要なものを選択する。
・Ion Xpress Plus Fragment Library Kit（Thermo Fisher Scientific社 Code 4471269）
・Nextera XT DNA Library Prep Kit（Illumina社 Code FC-131-1024, FC-131-1096）

その他
・シングルチャンネルピペット： 10 μl、20 μlおよび200 μl
・8連チャンネルピペット： 20 μl、200 μl
・フィルターピペットチップ： 2 μl、20 μlおよび200 μl
・1.5 ml tube用minicentrifuge
・0.2 ml tubeまたはstrip用minicentrifuge