本キットは、生菌由来DNAを選択的に検出するためにViable Bacteria Selection Kit for PCRシリーズを用いて行うEMA処理操作が、検体成分等に由来する反応阻害を受けることなく正しく行われたことを確認するために使用する。Viable Bacteria Selection Kit for PCRシリーズの試薬コンポーネントには、反応確認用のプラスミドDNAがあらかじめ添加されており、検体に対してEMA処理が正しく行われるとこのプラスミドDNAも同時に修飾を受け、PCR増幅できない状態になる。したがって、プラスミドDNA上の領域をターゲットとしてPCR増幅を行うことで、EMA処理操作が阻害を受けずに行われたかどうかを確認することができる。
なお、増幅産物の検出はリアルタイムPCR(qPCR:サイクリングプローブ法で検出)、エンドポイントPCR(アガロースゲル電気泳動で検出)のどちらでも行うことができる。
リアルタイムPCRの場合、増幅産物の検出にはサイクリングプローブ法を採用している。サイクリングプローブ法はRNAとDNAからなるキメラプローブとRNase Hの組み合わせによる高感度な検出方法で、増幅中や増幅後の遺伝子断片の特定配列を効率良く検出することができる。プローブは片方の端が蛍光物質で、もう片方の端がその蛍光物質の発する蛍光を消光する物質(クエンチャー)で標識されている。このプローブは、インタクトな状態ではクエンチングにより蛍光を発することはないが、配列が相補的な増幅産物とハイブリッドを形成した後にRNase HによりRNA部分で切断されることにより、強い蛍光を発するようになる(下図参照)。この蛍光強度を測定することで、増幅産物量をモニターすることができる。
サイクリングプローブ法の原理
リアルタイムPCR 検出の場合
リアルタイムPCR装置および専用チューブ
・Thermal Cycler Dice Real Time System
II (製品コード TP900/TP960)
解析には、食品環境検査用ソフトウェア、またはThermal Cycler Dice Real Time System Softwareを用いてください。
・Applied Biosystems 7500 Real-Time PCR System(Thermo Fisher Scientific社)など
エンドポイントPCR 検出の場合
サーマルサイクラー
TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice Touch(製品コード TP350)
TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice Gradient(製品コード TP600)など
電気泳動装置
Mupid-One(製品コード O1-01)、Mupid-2plus(製品コード M-2P)、Mupid-exU(製品コード EXU-1)など
UVトランスイルミネーター(300 nm前後のもの)
電気泳動ゲル撮影用装置
(SYBR Green Iを使用する場合は専用のフィルターが必要)
アガロース
PrimeGel Agarose PCR-Sieve(製品コード 5810A)
Agarose L03「TAKARA」(製品コード 5003/5003B)
電気泳動用buffer
Tris-Acetate-EDTA Buffer (TAE) 50x Powder, pH8.3(製品コード T9131)
TBE (Tris-borate-EDTA) powder(製品コード T905)
DNA マーカー
100 bp DNA Ladder(製品コード 3407A/B)
φ X174-Hae III digest(製品コード 3405A/B)
Loading buffer(6×Loading Buffer)(上記のDNAマーカーに添付)
DNA染色剤
SYBR Green I Nucleic Acid Gel Stain(製品コード 5760A/5761A)
エチジウムブロマイド
【その他】
200 μl、20 μl、10 μl各マイクロピペット
マイクロピペット用チップ(疎水性フィルター付)
卓上遠心機