Ecotropic Receptor Boosterは、細胞の細胞表面に一過的にエコトロピックレセプタータンパク質であるmCAT-1受容体の濃度を上げることできる製品である。本製品は、mCAT-1受容体を高密度でコートされたエキソソーム様小胞よりなり、従来、ラットやマウスだけに感染可能なエコトロピックのレトロウイルスやレンチウイルスをヒト細胞へ効率的に感染させることができる。また、ウイルス感染率の低い細胞を本試薬で処理することにより、形質導入効率を改善することができる。
使用法は、目的細胞を6 wellプレートの1 well当たり10~20 μlのEcotropic Receptor Boosterにより2時間処理して細胞膜と融合させ、組換えエコトロピックのレトロウイルスやレンチウイルスの形質導入を行う。
図1.Receptor Boosterを用いた遺伝子導入
Receptor Boosterはエキソソーム様小胞にウイルスレセプターが濃縮されている。ウイルス感染前にターゲット細胞を本試薬により処理することで、細胞表面上のレセプター濃度を上昇させ、形質導入効率を向上させることができる。また、Ecotropic Receptor Boosterは、エコトロピックレセプターを持たないヒト細胞へのエコトロピックなレンチまたはレトロウイルスによる形質導入に利用できる。
図2.Jurkat細胞、ヒト間葉系幹細胞、ヒト初代神経前駆細胞へのエコトロピックレンチウイルスでの遺伝子導入
図3. 各ヒト細胞へのエコトロピックレンチウイルスの形質導入
レンチウイルス感染の24時間前にHT1080細胞を6 wellプレートに播種し、Ecotropic Receptor Booster 10 μlを添加し、37℃で2時間反応させた。その後、Lenti-X HTX Ecotropic Packaging Systemを使用して作製されたLenti-X ZsGreen1 lentivirusを感染(MOI=~15)させ、48時間後にZsGreenの発現を確認した(図A)。通常、エコトロピックレンチウイルスで感染しない各種ヒト細胞をEcotropic Receptor Boosterにより処理することにより、エコトロピックレンチウイルスの感染が確認された(図B)。