Lenti-X Packaging Single Shotsは、簡便にワンステップで高タイターのレンチウイルスベクターを作製できる第4世代レンチウイルスパッケージングシステムです。
Lenti-X Packaging Single Shots(VSV-G)は、最適化されたパントロピック(エンベロープ:VSV-G)Lenti-X packaging plasmidとトランスフェクション試薬Xfect Transfection Reagentが1本のチューブ内にプレミックスされた製品です。
またエコトロピックなエンベロープを用いたLenti-X Packaging Single Shots(Ecotropic)や、任意のエンベロープ配列をクローニングして利用できるLenti-X Packaging Single Shots (Envelope-Free)も取り揃えています。
目的遺伝子を搭載したレンチウイルスベクタープラスミドの水溶液を加えて混合、静置後、10 cmディッシュ中の
Lenti-X 293T Cells(製品コード 632180)などの293T細胞培養に加えるだけで高タイターのレンチウイルスベクターを作製することができます。
各チューブには、10 cmディッシュでのトランスフェクション試薬とパッケージングプラスミドが含まれており、血清存在下でもトランスフェクション可能です。
また、
96-well Plateタイプは各ウェルにプレミックスが分注されており、ハイスループットアプリケーションにそのまま使用できます。
なお、Lenti-X Packaging Single Shots (Envelope-Free)には、エンベローブ配列をクローニングするためのベクター(pEmpty Vector)と作製したレンチウイルスをモニタリングするためのレポーター(ZsGreen、ルシフェラーゼ)を搭載したSIN型レンチウイルスベクタープラスミドが含まれています。
(注)
- 本システムでパッケージングを行う際は、必ずテトラサイクリン様活性を有しないTet System Approved FBSを含んだ培地で細胞培養してください。
- 本システムに細胞は含まれておりません。別途、Lenti-X 293T Cell Line(製品コード 632180)をお求めください。
- 研究開発等に係る遺伝子組換え生物等に関する文部科学省・環境省令および各施設の遺伝子組換え実験に関する規則に従ってご使用ください。
図1.Lenti-X Packaging Single Shots (VSV-G)を用いたプロトコール
レンチウイルスベクタープラスミド(例:
pLVSIN-CMV Pur)をLenti-X Packaging Single Shotsを用いて、Lenti-X 293T細胞内にコトランスフェクションする。48時間後には、高力価のウイルス上清が得られます。
図2.Lenti-X Packaging Single Shots (Envelope-Free) を用いたプロトコール 組換えレンチウイルスの宿主指向性は以下の2種類から選択できます。
また、Lenti-X Packaging Single Shots (Envelope-Free)を利用して、任意のエンベロープタンパク質を持つウイルスを産生することもできます。
- Lenti-X Packaging Single Shots(VSV-G)は、実質的にすべての細胞種に感染できるパントロピックなエンベロープタンパク質(VSV-G viral envelope protein)を持つウイルスを産生できます。
- Lenti-X Packaging Single Shots(Ecotropic)は、マウスやラットの細胞だけに感染できるエコトロピックなエンベロープタンパク質(MLV ecotropic envelope glycoprotein:gp70)を持つウイルスを産生できます。
図3.各レンチウイルスベクタープラスミドを用いた高タイターウイルス作製
各レンチウイルスベクターにCMV-ZsGreen1発現カセットをクローニングし、本製品によりLenti-X 293T細胞中でパッケージングしました。48時間後、各法によりウイルスタイターを測定した。Flow Cytometryは、ウイルス上清をHT1080細胞へ感染後に測定しました。ウイルスゲノムコピー数(qRT-PCR)は、
Lenti-X qRT-PCR Titration Kit(製品コード 631235)で、p24タンパク質(p24 ELISA)は、
Lenti-X p24 Rapid Titer Kit(製品コード 632200)で、さらに
Lenti-X GoStix(製品コード 631243)でウイルス簡易検出を行いました。
図4. Lenti-X Packaging Single Shots (VSV-G)によるベクタープラスミドのトランスフェクション効率とウイルス粒子の導入効率
Lenti-X Packaging Single Shots(VSV-G)を用いて蛍光タンパク質ZsGreen1を発現するレンチウイルスを産生する実験を5連で行いました。ウイルスベクタープラスミドのトランスフェクション効率は、5連全てで100%近い効率を示し、フローサイトメトリーを用いて得た蛍光平均強度(MFI)についても均一な値が得られた(パネルA)。その後、精製したウイルス上清を希釈してタイター測定し、6 μg/mlポリブレン存在下、HT1080細胞への遺伝子導入を行った。遺伝子導入から72時間後にフローサイトメトリーにて、生物学的力価測定を行った結果、5連全てでおおよそ1×10
8IFU/mlのタイターが得られたことから、チューブ間でばらつきのない遺伝子導入能を有するウイルスが得られたことがわかりました。
図5. Lenti-X Packaging Single Shots (Ecotropic)を用いた高エコトロピックタイターレンチウイルスの産生
Lenti-X Packaging Single Shots (Ecotropic)を用いてZsGreen1を発現するエコトロピックレンチウイルスを産生しました。またコントロールとして従来の溶液タイプのパッケージングミックスを用いたウイルス産生を同時に行いました。精製した上清を希釈後タイター測定し、6 μg/mlポリブレン存在下、NIH3T3細胞への遺伝子導入を行いました。遺伝子導入から72時間後にフローサイトメトリーにて、生物学的力価測定を行ったところ、どちらの方法を用いた場合も、おおよそ1×10
6IFU/mlのタイターが得られました。