製品説明
PrimeSTAR HS DNA Polymeraseは、タカラバイオが独自に開発した高い正確性と高い増幅効率をあわせ持つDNA Polymeraseである。本酵素は非常に強力な3’→5’exonuclease活性を有し、DNA合成において抜群の校正力を示す一方、Taq DNA polymeraseに優る高い増幅効率も示す。常温下でのDNA Polymerase活性および3’→5’exonuclease活性を抑えるモノクローナル抗体を添加しているため、PCR反応前のミスプライミングやプライマーの消化を防ぐことができる。また、高いプライミング効率を有しているため、アニーリング時間を短時間に設定でき、反応時間を短縮することが可能である。
本製品は、GC含有率の高いターゲットの正確な増幅を目的として構築した製品である。増幅が困難であるGC含有率の高いターゲットに対して、PrimeSTAR HS DNA Polymeraseが元来有する高い正確性と増幅効率を維持しつつ、高い成功率で特異性に優れたPCR増幅を実現する。
内容
(200回反応分、50 μl反応系)
PrimeSTAR HS DNA Polymerase(2.5 Units/μl) |
| 100 μl |
2×PrimeSTAR GC Buffer (Mg2+ plus) | 1.7 ml×3 |
dNTP Mixture(2.5 mM each) | 800 μl |
※ Mg
2+濃度は2 mM(2×)です。
保存
-20℃
一般的なPCR反応組成(Total 50 μl)
| 使用量 |
| 最終濃度 |
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2×PrimeSTAR GC Buffer(Mg2+ plus) |
| 25 μl |
| 1× |
dNTP Mixture(2.5 mM each) | 4 μl | 200 μM each |
Primer 1 | 10~15 pmol | 0.2~0.3 μM |
Primer 2 | 10~15 pmol | 0.2~0.3 μM |
Template | <200 ng |
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PrimeSTAR HS DNA Polymerase(2.5 U/μl) | 0.5 μl | 1.25 U/50 μl |
滅菌精製水 | up to 50 μl |
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※ PCR反応液の調製は室温でも可能である。ただし、酵素などの各試薬は氷上に置いて使用する。
PCR条件
本製品はGCリッチなターゲットの増幅を目的としているため、通常、2 step PCRで良い結果が得られます。2 step PCRで反応性、増幅効率が十分でない場合には、3 step PCRをお試しください。
(A)2 step PCRの場合
98℃ 68℃ | 10 sec. ┓ 1 min./kb ┛ | 30 cycles |
(B)3 step PCRの場合
98℃ 60℃ 72℃ | 10 sec. ┓ 5 sec. ┃ 1 min./kb ┛ | 30 cycles |
<重要> 本酵素はプライミング効率が非常に高い酵素ですので、3 step PCRでのアニーリング時間は5秒に設定して反応を行ってください。
PCR産物について
PrimeSTAR HS DNA Polymerase with GC Bufferを用いて増幅したPCR産物のほとんどは平滑末端である。したがって、そのPCR産物をそのまま(必要に応じてリン酸化して)平滑末端のベクターにクローニングすることが可能である。平滑末端ベクターへのクローニングにはMighty Cloning Reagent Set (Blunt End) (製品コード 6027)が利用できる。
T-vectorにクローニングする場合は、PCR産物の3'末端にdAを付加する必要がある。T-vectorへのクローニングにはMighty TA-cloning Reagent Set for PrimeSTAR(製品コード 6019)が利用できる。
【ダイレクトシーケンスを行う場合】
本酵素は3’→5’exonuclease活性を有するため、ダイレクトシーケンシングを行う前にフェノール/クロロホルム処理などのタンパク質除去操作を行ってください。 正確性について
GCリッチな
Thermus thermophilus HB8 genomic DNAを鋳型として、任意に選択した8領域(増幅サイズはそれぞれ約500 bp)をPCR増幅後、ベクターにクローニングし、各配列について複数クローンをピックアップしてそのシーケンスを確認し、mutation frequencyを求めた。
その結果、PrimeSTAR HS DNA Polymerase with GC Bufferの正確性は、
Pfu DNA Polymeraseに比べて高く、PrimeSTAR HS DNA Polymerase(PrimeSTAR Buffer使用)とほぼ同程度であった。
この方法は、実際のPCRに最も即したFidelityの求め方である。正確性が重要な反応に安心して使用できる。
各酵素のFidelity比較
| * PrimeSTAR HS DNA Polymerase with GC Bufferで増幅した場合、実際に解析した304,110塩基のうち、エラーはわずかに25塩基であった。 |