製品説明
hESC(ヒト胚性幹細胞)やhiPSC(ヒト人工多能性幹細胞)の幹細胞培養において、細胞の増殖や分化に必要な環境を整えるため補助的にマウスフィーダー細胞を用いることがある。将来の再生医療応用のためには、異種フィーダー細胞を除去する必要があり、幹細胞の品質を担保するためにも残存マウス細胞の検出が必須となる。本製品は、hESCやhiPSCなどの培養幹細胞から抽出したゲノムDNAを鋳型として、残存しているマウスフィーダー細胞由来のゲノムDNAをリアルタイムPCR法により高感度に検出・定量するキットである。
マウスフィーダー細胞由来DNAを高感度に検出するため、マウスミトコンドリア(mt)DNA領域にリアルタイムPCR用プライマーを設計している。mtDNAは、細胞種や細胞株、分化状態によりコピー数が変動することが知られており、マウスフィーダー細胞においても使用ロット間で変動する可能性があるため、マウスmtDNAコピー数を測定するためのプライマーセットも添付している。マウスフィーダー細胞のロット間補正(
※)などに利用できる。
※ ロット間補正
1つの検量線を用いて、複数ロットのマウスフィーダー細胞由来DNAを定量する際は、各ロット間でmtDNAコピー数に差がないことを確認する必要がある。マウスフィーダー細胞の使用ロット毎に検量線を作成する場合は、補正の必要はない。
定量原理
<マウスフィーダー細胞由来ゲノムDNAの混入率の算出>
検体に含まれるマウスとヒトのゲノムDNAに対して、各々リアルタイムPCR定量解析を行い、作成した検量線から検体に含まれる各ゲノムDNAを定量して、マウスフィーダー細胞由来のゲノムDNA混入率を算出する。
<マウス細胞のミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数の算出方法(オプション)>
リアルタイムPCRを利用して、マウスmtDNAコピー数を核DNA(nDNA)を基準として相対的に定量する。マウスゲノムDNA検体中のnDNAとmtDNAに対して、各々リアルタイムPCR解析を行い、nDNAについて検量線を作成(縦軸:Ct値(SDM)、横軸:コピー数)した後、mtDNAのCt値を検量線にあてはめることで相対的なコピー数を算出する。
nDNAとmtDNAの各検出プライマーは、各々マウスゲノムDNA上で1コピー存在する遺伝子を標的とし、リアルタイムPCR解析において増幅効率(E)がほぼ同等となるように設計している。
内容
(100 反応分、25 μl PCR反応系)
(1) | TB Green Premix Ex Taq II(Tli RNaseH Plus)(2×Conc.) | 625 μl×4 |
(2) | Mouse_Mt_primer(10 μM each) | 100 μl |
(3) | Mouse_genome_primer(10 μM each) | 100 μl |
(4) | Human_primer_Type I(CHR3)(10 μM each) | 100 μl |
(5) | Human_primer_Type II(CHR7)(10 μM each) | 100 μl |
(6) | Human_primer_Type III(CHR15)(10 μM each) | 100 μl |
(7) | dH2O | 1 ml×2 |
(8) | EASY Dilution(for Real Time PCR) | 1 ml×2 |
(9) | ROX Reference Dye(50×Conc.) | 50 μl |
(10) | ROX Reference Dye II(50×Conc.)* | 50 μl |
(11) | Human Genomic DNA(100 ng/μl)* | 20 μl |
◆ROX Reference Dyeを添加する機種
・ Applied Biosystems StepOnePlus Real-Time PCR System(Thermo Fisher Scientific社)など
◆ROX Reference Dye IIを添加する機種
・ Applied Biosystems 7500 Fast Real-Time PCR System(Thermo Fisher Scientific社)など
◆添加の必要がない機種
・ Thermal Cycler Dice Real Time Systemシリーズ(製品コード TP900/TP960:終売)など
* Applied BiosystemsのリアルタイムPCR装置など、ウェル間の蛍光シグナルの補正を行う装置で解析する場合に使用します。
保存
TB Green
Premix Ex Taq II (Tli RNaseH Plus)
4℃保存:6ヵ月安定
注: | 必ず遮光してください。また、コンタミネーションには十分注意してください。
長期保存する場合は-20℃で保存してください。いったん融解したものは4℃で保存し、6ヵ月を目処にご使用ください。
【注】 TB Green Premix Ex Taq II (Tli RNaseH Plus)は、Lot.AI31827Aから長期保存温度が-80℃から-20℃に変更になりました。
|
その他のコンポーネント
-20℃保存
本製品以外に必要な機器、試薬(主なもの)
関連のオンラインガイドはこちら
幹細胞・再生医療研究ガイド
タカラバイオで展開している幹細胞研究のための試薬・受託サービス選択ガイドの他、関連情報をまとめています。