LVpro Provirus qPCR Quantitation Kitは、プローブ法によるリアルタイムPCRを利用してレンチウイルスベクターによりヒト細胞へ遺伝子導入した際のゲノムに組み込まれたベクターコピー数(プロウイルスコピー数)を測定するための製品です。(図1)本製品は、一般的に広く使われているレンチウイルスベクターで遺伝子導入したヒト正常細胞のプロウイルスコピー数を正確に測定することができます。
図1. LVpro Provirus qPCR Quantitation Kitの操作の流れ
レンチウイルス配列とヒトIFNγ配列の一部がそれぞれ1コピーずつ含まれるProvirus Control Templateを用いて両者の検量線を作成し、目的サンプルのゲノムDNA中のレンチウイルスとヒトIFNγのコピー数(copies/μl)を定量することで、1細胞あたりの平均プロウイルスコピー数を算出する。
図2. プロウイルスコピー数の測定結果(WGS・他社比較)
レンチウイルスベクタ―で遺伝子導入した細胞(常染色体2倍体細胞)をクローニングし、抽出したゲノムDNAからホールゲノムシーケンス(WGS)でプロウイルスコピー数を確定した。また、それぞれのクローンから抽出したゲノムDNA100 ngを用いて、本製品または他社製品により、プロウイルスコピー数を測定した。本製品とA社製品に関しては独立した3回の試験の平均値を示す。
その結果、本製品によるプロウイルスコピー数と、WGS解析で得られたプロウイルスコピー数はほぼ同等の値を示し、本製品の定量性が非常に正確であることが示唆された。
図3. MOIとプロウイルスコピー数の相関
(左)ZsGreen1遺伝子を搭載したレンチウイルスベクターを段階希釈し、様々なMOI(Multiplicity of Infection)でHT1080細胞に感染させた。
感染から4日後、細胞をDNase I処理後にNucleospin Tissueを用いてゲノムDNAを抽出した。
(右)CD19-CAR遺伝子を搭載したレンチウイルスベクターを段階希釈し、様々なMOIでSUP-T1細胞に感染させた。
感染から3日後、細胞をDNase I処理後にNucleospin Tissueを用いてゲノムDNAを抽出した。
本製品を用いて、各サンプルにつき100 ngのゲノムDNAを使用してリアルタイムPCRを実施した。得られた1細胞当たりの平均プロウイルスコピー数とMOIの相関性を確認した。本データは独立した3回の試験の平均値を示す。
その結果、異なる細胞株・異なる搭載遺伝子の組み合わせにおいて、MOIとプロウイルスコピー数のR
2値が0.98を超える高い相関を示した。