製品説明
Lenti-X Concentratorは超遠心分離を行うことなく、簡便、迅速、しかも高効率にレンチウイルス上清の濃縮を行うことができる試薬である。プロトコールは極めて簡便で、ウイルス上清にLenti-X Concentratorを混合して、インキュベート後に標準的な遠心機を用いて遠心し、上清を除いたペレットを1/10~1/100容量に再懸濁するだけである(図1)。これによりウイルス力価を最大100倍まで高めることができる。Lenti-X Concentratorは、ClontechのLenti-Xシリーズのレンチウイルスを含めたすべてのレンチウイルス上清に用いることができ、さらに用途に合わせて大容量へのスケールアップも簡単に行うことができる。
ウイルス力価を最大100倍に
Lenti-X Concentratorを用いれば、さまざまな液量のレンチウイルス上清を、約90%のウイルス粒子を保持したままウイルス力価を107 IFU/mlから109 IFU/mlまで高めることができる(図2)。
さまざまな液量や力価のウイルス上清に対応
Lenti-X Concentratorは4×の試薬として提供されるため、さまざまな液量や力価のレンチウイルス上清に用いることができ、例えば30 mlのウイルスを含む培養上清には、Lenti-X Concentratorを1/3量、10 mlを添加して使用する。ウイルス上清を250 mlに希釈した後にLenti-X Concentratorを用いて濃縮し、ペレットを2.5 mlのPBSに再懸濁したところ、95%以上のウイルス粒子を回収することができた(図3A)。また、連続希釈して得た力価の異なるレンチウイルス上清を、それぞれLenti-X Concentratorを用いて1/100液量に濃縮することで、力価を約100倍に高めることができた(図3B)。Lenti-X Concentratorはウイルス量や力価、液量によらず、さまざまなレンチウイルス上清の濃縮に用いることができる。
表1. Lenti-X Concentratorを用いたウイルス濃縮と従来の超遠心を用いた方法の比較
特徴 |
Lenti-X Concentrator |
超遠心法 |
スケール適応性 |
可 |
不可 |
特別な装置 |
不要 |
必要 |
所要時間 |
1時間以内 |
4時間から一晩 |
簡便性 |
++++ |
+ |
収量 |
90%以上 |
90%以上 |
図1. Lenti-X Concentratorを用いたレンチウイルス濃縮の概要
レンチウイルス上清にLenti-X Concentrator を混合し、4℃で30分~O/Nインキュベートする。インキュベート後、1,500 ×g、4℃で45分間遠心し、上清を除いた後のペレットを1/10~1/100量のPBSなどに再懸濁する。
レンチウイルスの濃縮(操作方法を動画でご覧ください)
図2. サンプルロスを最小限に抑えた効率的なレンチウイルス濃縮
pLVX-ZsGreen1ベクターを用いて作製したレンチウイルス上清をLenti-X Concentratorを使用して3 mlから30 μlに濃縮し、ウイルス力価を100倍に高めた。濃縮後も濃縮前の約90%のウイルス粒子が存在することが分かる。ウイルス力価はZsGreen1発現レンチウイルスをHT1080細胞株に感染させフローサイトメトリーにより求めた。
図3. 大容量やさまざまな力価のウイルス上清の濃縮例
レンチウイルス上清を250 mlに希釈し、Lenti-X Concentratorを用いて2.5 mlに濃縮した(パネルA)。また、10倍ずつ連続希釈した高力価レンチウイルス上清各10 mlを、Lenti-X Concentratorを用いて100 μlに濃縮した(パネルB)。ウイルス力価はZsGreen1発現レンチウイルスをHT1080細胞株に感染させフローサイトメトリーにより求めた。
内容
・4× Lenti-X Concentrator (100 ml or 500 ml)
※本試薬100 mlによりウイルス上清300 mlを処理できる。
保存
4℃