製品説明
本製品は、高フィデリティーPCR酵素PrimeSTAR Max DNA Polymeraseによる極めて正確でスピーディーな増幅に基づく新しい変異システムである。鋳型であるターゲット領域を含むプラスミドDNAと変異導入用プライマーを用いてPrimeSTAR Maxで増幅したPCR産物を、そのまま直接大腸菌に形質転換するだけの非常に簡単な操作で、変異導入体を高い効率で取得できる。PrimeSTAR Maxの有する世界最高の伸長速度(5 sec./kb)と抜群の正確性により、長鎖のプラスミドでも極めて短時間に増幅でき、さらに目的の変異導入部位以外にPCR増幅エラーが入ることはほとんどない。独自のプライマー設計によりPCRの過程でPCR産物が環状構造になるため、リン酸化反応やライゲーション反応を行うことなくPCR産物を直接形質転換に使用できる。
内容
(25回分)
PrimeSTAR Max Premix(2×) | 625 μl |
Control template(pUC118 DNA:50 ng/μl)* | 10 μl |
Control Primer F(20 pmol/μl)* | 10 μl |
Control Primer R(20 pmol/μl)* | 10 μl |
Xho I* | 10 μl |
10× Xho I buffer* | 10 μl |
* 6塩基挿入変異のコントロール実験(10回分)と結果の確認(10クローン分)が行える。
Control templateは
10~100 pg/μlに希釈して使用してください(要時調製)。
PrimeSTAR Max DNA Polymerase の正確性について
比較的PCRエラーが起こりやすいGC richな
Thermus thermophilus HB8 genomic DNAを鋳型として、任意に選択した8領域(増幅サイズはそれぞれ約500 bp)をPCR増幅後、ベクターにクローニングした。各配列について複数クローンをピックアップしてそのシーケンスを確認し、mutation frequencyを求めた。その結果、PrimeSTAR Max DNA Polymeraseは
Taq DNA Polymeraseと比べて10倍Fidelityが高く、PrimeSTAR HS DNA PolymeraseやA社 High Fidelity酵素に比べても同等以上の正確性を示した。この方法は、実際のPCRに最も即したFidelityの求め方であり、PrimeSTAR Maxは正確性が重要な反応に安心して使用することができる。
図1. 各酵素のFidelityの比較
PrimeSTAR Max DNA Polymeraseで増幅した場合、実際に解析した230,129 塩基のうち、エラーはわずかに9塩基であった。
保存
-20℃
原理
プラスミドを鋳型に5’側が15塩基オーバーラップした変異導入用プライマーを用いて外向きにPCR増幅を行うことで、オーバーラップ部分が5'突出したPCR産物が得られる(図2)。この増幅産物は形質転換可能な環状構造をとることができる。
本システムでは、オーバーラップ部分に変異を導入したプライマーとPrimeSTAR Maxを用いてPCRを用いてPCRを行い、増幅したPCR産物で直接大腸菌を形質転換する簡便な方法で変異導入体を取得する。適切なPCR増幅産物が形質転換可能な環状構造をとるため、ライゲーション反応や増幅断片のゲルからの回収は不要である。
PrimeSTAR Maxの極めて高い正確性により、狙った部位のみに確実に変異を導入でき、目的部位以外にPCRエラーが入ることはほとんどない。
図2. PCRの過程で形質転換可能な環状二本鎖が得られる原理