Cellartis DEF-CS 500 Culture Systemは、ヒト由来多能性幹細胞(ヒトESおよびヒトiPS)用の培地である。フィーダーフリーで培養でき、かつ長期間未分化状態を維持して高い細胞増殖効率を示す高品質な培地である。
単一細胞分散状態で継代できる(
図1「馴化後の培養細胞の形態」参照)ため扱いやすく、ハイスループットスクリーニングに最適である。
また、未分化状態の維持に優れており(
図2「未分化マーカーの発現確認」参照)、培養後の未分化細胞のセレクションが不要である。
本製品を使用してオンフィーダー培養からフィーダーフリー培養へ、未分化状態を維持したまま簡単に移行できること(
Application 「iPS細胞のフィーダーフリー培養への移行例」参照)や、高効率なシングルセルクローニングが可能であること(Technical Notes
「iPS細胞のシングルセルクローニング」)も確認している。
本製品で培養したヒト由来多能性幹細胞の形質は、フィーダー細胞上で培養した場合と類似するというフローサイトメトリー解析結果が得られている(
図3「培養5週間後の細胞の形質」参照)。
高いSSC値は、未分化マーカー発現率と単一細胞で継代した時のコロニー形成効率に相関することを示した報告もある(参考文献)。
【参考文献】
Side scatter intensity is highly heterogeneous in undifferentiated pluripotent stem cells and predicts clonogenic self-renewal.
Ramirez JM, Bai Q, Péquignot M, Becker F, Kassambara A, Bouin A, Kalatzis V, Dijon-Grinand M, De Vos J.
Stem Cells Dev. 2013 Jun 15;
22(12):1851-1860.
![](/IMAGES/y30010e.jpg) |
(1) On feeder | (2) DEF-CS培地 | (3) A社培地 | (4) B社培地 |
図1. 馴化後の培養細胞の形態
以下の各培地でヒトiPS株(253G1)を培養した場合の結果(馴化後に継代し5日目)を写真で示す。培養条件・コーティング剤は、各培地の推奨プロトコールに従った。
○検討培地 (1) On feeder(MMC処理STO細胞使用) (2) DEF-CS培地 (3) A社培地 (4) B社培地
(弊社比較データ)
| On feeder | DEF-CS培地 | A社培地 | B社培地 |
TRA1-60の発現 | ![](/IMAGES/y30010f.gif) DEF-CS培地での培養細胞は高い陽性確率と発現強度を示した。 |
SSEA4の発現 | ![](/IMAGES/y30010g.gif) DEF-CS培地での培養細胞は高い陽性確率と発現強度を示した。 |
図2. 未分化マーカーの発現確認
各培地でヒトiPS株(253G1)を5週間培養後、細胞を回収し未分化マーカーTRA1-60、SSEA4の発現をフローサイトメトリー解析した。培養条件・コーティング剤は、各培地の推奨プロトコールに従った。
(弊社比較データ)
図3. 培養5週間後の細胞の形質
各培地(1)~(4)でヒトiPS株(253G1)を5週間培養後、細胞を回収しフローサイトメトリー解析(FSC対SSC)した。培養条件・コーティング剤は、各培地の推奨プロトコールに従った。DEF-CS培地での培養細胞はOn Feederに類似した形質を示した。
(弊社比較データ)
図4.DEF-CS 500でhES細胞を25継代培養した核型解析の結果 | 図5.DEF-CS 500でhES細胞を培養したときの細胞増殖 |
正常を維持していることを示した。 | 2~2.5×106 cellsから18~20日間(4継代)で2×109まで増殖可能であった。 |
図6. hES細胞のDEF-CS 500による26継代培養後の多能性解析
上段【テラトーマ解析】 a:分泌上皮細胞層と結合組織 b:軟骨細胞と結合組織 c:成熟/未成熟神経組織
下段【胚様体形成を介した分化形成】 d:内胚様形成(マーカー:FOXA) e:中胚葉形成(マーカー:ASMA) f:外胚葉形成(マーカー:beta-lll-tubulin)