製品説明
mRNA Cap 2’-O-Methyltransferase(2’-O-MTase)は、vacciniaウイルス由来のメチル化酵素であり、5’末端に7-methylguanylate cap (m
7G cap) 構造(Cap 0)を持つRNAの1番目のヌクレオチドの2’-O部位を特異的にメチル化し、Cap 1構造を付与します。Cap 1構造を持つRNAは、生体内において自然免疫応答を回避するのに役立ち、翻訳を促進することが知られています。本製品には反応バッファーとメチル基供与体としてのS-adenosylmethionine (SAM)が含まれており、高効率にCap-0 RNAからCap-1 RNAを調製できます。
また、本酵素をVaccinia Capping Enzyme(製品コード 2460A/B)と同時に用いることで、キャップ化されていないRNA(5’-triphosphate RNA)からCap 1構造を持つRNAを直接シングルステップ反応で調製することもできます(
使用例-2をご参照ください)。
用途
- Vaccinia Capping Enzyme(VCE)などでm7G cap構造(Cap 0)を付与したRNAのCap 1構造への変換
- シングルステップでのRNA(5’-triphosphate RNA)へのCap 1構造付与(※VCEの併用が必要)
- in vitro transcription(IVT)などで合成したm7G cap構造(Cap 0)を持つRNAのCap 1構造への変換
- mRNAのin vivo投与に際しての翻訳効率促進、および免疫原性の低下(自然免疫応答回避)
内容
mRNA Cap 2’-O-Methyltransferase (50 U/μl) | 2,500 U |
10× Capping Buffer | 100 μl |
S-adenosylmethionine (SAM) (32 mM) | 100 μl |
保存
-20℃
濃度
50 U/μl
起源
Escherichia coli carrying a plasmid containing the gene for vaccinia virus mRNA cap 2’-O-methyltransferase
一般的性質
質量:約40 kDa
活性の定義
37℃において1時間に10 pmolのCap-0 RNAをメチル化する酵素量を1 Uとする。
活性測定用反応液組成
1× |
|
Capping Buffer |
1 mM |
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DTT |
13.75 μCi/ml |
|
[3H]SAM |
2 μg/50 μl |
|
100 nt Cap-0 RNA |
品質管理データ
注意事項
- 本酵素の激しい攪拌は行わないでください。
- 鋳型となるRNAや試薬、反応に使用するチューブ、マイクロピペット用チップなどにRNaseが混入した場合、反応後に得られるRNAの収量が低下したり、RNAが断片化します。反応に使用するチューブ、マイクロピペット用チップは専用のものとし、反応を行うときはディスポーザブル手袋を着用して、RNaseが混入しないように注意してください。
使用例
<使用例-1(Cap-0 RNAからCap-1 RNAの調製)>
37℃で1時間インキュベーションする。
*4
<使用例-2(Uncapped RNA(5’-triphosphate RNA)からCap-1 RNAの調製)>
37℃で1時間インキュベーションする。
*4
*1 |
使用するRNAは5’末端が複雑な2次構造を取る場合に備え、反応前に熱変性する。 <熱変性>
(1) |
精製RNA 10 μgをRNase-free waterで16 μl(Cap-0 RNAからCap-1 RNAの調製)あるいは14 μl(uncapped RNAからCap-1 RNAの調製)に調製する。 |
(2) |
65℃、5~10分で熱変性した後、5分氷冷する。 |
|
*2 |
SAMは不安定であるため、反応前に必要分を32 mMのストック溶液からRNase-free waterで希釈調製する。希釈液は反応まで氷上で保存する。 |
*3 |
必要に応じてスケールアップ可能。 |
*4 |
RNAの長さが200 nt以下である場合は、メチル化効率(およびcap付加効率)を上げるため反応時間を延長する(1時間→2時間)。 |
注: |
反応液中のRNAを安定的に保つため、RNase inhibitorが使用できます。使用する場合は、最終濃度が1 U/μlとなるように添加してください。 |