製品説明
In-Fusion Snap Assembly Master Mixは、わずか15分間の反応で、1個~複数のPCR断片を任意のベクターの任意のサイトへ設計通りにクローニングできるキットである。クローニングするPCR断片に対し、制限酵素処理、リン酸化、平滑末端化は不要である。クローニング効率が95%以上であるため、ハイスループットなどのスケールアップも可能である。
In-Fusion反応では、PCR断片と線状化ベクターの両末端15塩基の相同配列を利用して効率よくクローニングする。この15塩基の相同配列はPCR用プライマーの設計により容易に付加できる。In-Fusion Snap Assembly Master Mixによって線状DNAの3'末端から塩基が除去され、2個のDNA断片間で生じる相補的塩基によりアニーリングが可能となり、DNA断片の結合が起こる。この原理により1個から複数の断片のクローニングが可能となる。さらに、変異導入、遺伝子合成、特定遺伝子領域の変換などにも利用できる。
In-Fusion Snap Assembly Master Mixは、In-Fusion HD Cloning Kitのバージョンアップ品であり、In-Fusion HDや他社同タイプキットと比べてクローニング効率が向上している。
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In-Fusionと他社シームレスクローニングキットは何が違うの?
図1.プロトコール In-Fusion反応の概略
- 利用するベクターの末端配列に相同な15塩基を、目的遺伝子増幅用プライマーの5'末端に付加し、目的遺伝子をPCR増幅する。
- 増幅産物がシングルバンドであればカラム精製、またはCloning Enhancer処理を行い、複数のバンドが見られる場合はゲルから精製して、In-Fusion酵素で線状化ベクター*と結合する(In-Fusion反応:50℃、15分)。
Cloning Enhancer(製品コード 639613~639615)は、PCR産物をそのままIn-Fusion反応に使用するための独自の前処理試薬である。PCR終了後の反応液に本試薬を加えて30分間インキュベートするだけで、そのままIn-Fusion反応に使用できる。PCR産物の精製ステップが不要となり、試料のロスも少なくなる。
- In-Fusion反応液で形質転換を行い、目的クローンをスクリーニングする。
* 線状化ベクターは、制限酵素処理や全長のPCR増幅により調製してください。
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>>In-Fusionと他社シームレスクローニングキットは何が違うの? In-Fusionプライマーの設計
In-Fusionクローニング用プライマーの設計および目的DNA断片の増幅は、基本的に通常のPCRプライマーの設計、PCR増幅と同じである。唯一の違いは、利用するベクターの末端配列に相同な15塩基を、配列特異的プライマーの5’末端に付加することである(下図参照)。
お手持ちのベクターに対するIn-Fusion用プライマーの設計には、便利なオンラインツール「In-Fusion クローニング用プライマー設計サイト(In-Fusion Cloning Primer Design Tool)」をご利用ください。
※ リンク先はTB USA社サイトです。デザインツールが更新され、より使いやすくなりました。
※ これまでお使いいただいていた「In-Fusionクローニング用プライマー設計サイト(Primer Design tool for In-Fusion)」は
こちらから 性能比較データ
図3.In-Fusion HDとの比較
In-Fusion Snap AssemblyとIn-Fusion HDを使用し、インバースPCRで予め線状化した2.7 kbのベクターに5つの異なるサイズのインサート(405 bpから1,005 bpまで)を同時にクローニングした。各クローニング反応を3連で行い、得られたコロニー数を比較した。クローニングの正確性を確認するため、形質転換およびプレーティング後、各レプリケートから10個のコロニーを選択してシーケンスを行い、目的の配列が正しく挿入されているかを確認した。
In-Fusion Snap Assemblyを使用した場合、In-Fusion HDの4倍以上のコロニーが得られた。また、選択したコロニーのうち90%以上に正しい配列が挿入されていることを確認した。
図4.他社同タイプキットとの比較(インバースPCRによりベクターを線状化)
In-Fusion Snap Assemblyと他社同タイプキット(他社製品A)を用いて、3.8 kb インサートDNA(グラフA)または34.2 kbアデノウイルスDNA(グラフB)を2.7 kb線状化ベクターへクローニングした。クローニング反応はそれぞれ3連で行った。形質転換後、各反応からそれぞれ20コロニーについて、シーケンス(グラフA)またはコロニーPCR(グラフB)によりクローニング精度を調べた。
In-Fusion Snap Assemblyを使用した場合、他社製品Aの2倍以上のコロニーが得られた。また、選択したコロニーのうち95%以上に正しい配列が挿入されていることを確認した。
図5.他社同タイプキットとの比較(制限酵素処理によりベクターを線状化)
In-Fusion Snap Assemblyと他社同タイプキット(他社製品A)を用いて、制限酵素処理により作成された5'突出末端(グラフA)、平滑末端(グラフB)、3'突出末端(グラフC)の単一インサート(3.8 kb)を線状化された標準的なベクターにクローニングした。クローニング反応を3連で行い、得られたコロニー数を比較した。各レプリケートから20個のコロニーを選択してシーケンスを行い、目的の配列が正しく挿入されているかを確認した。
In-Fusion Snap Assemblyを使用した場合、他社同タイプキットの5倍~16倍以上のコロニーが得られた。また、選択したコロニーのうち95%以上に正しい配列が挿入されていることを確認した。 内容
- In-Fusion Snap Assembly Master Mix※
(製品コード 638947、638948、638949、638943、638944)
-
- 5X In-Fusion Snap Assembly Master Mix
- pUC19 Control Vector, linearized
- 2 kb Control Insert
- In-Fusion Snap Assembly Master Mix with Competent Cells※
(製品コード 638951、638952)
-
- 5X In-Fusion Snap Assembly Master Mix
- pUC19 Control Vector, linearized
- 2 kb Control Insert
- pUC19 Vector
- SOC Medium
- Stellar Competent Cells(製品コード 636763)
※ PCR産物の精製には別途、NucleoSpin Gel and PCR Clean-up(製品コード 740609.10)などの精製用スピンカラムをご用意ください。なお、PCRによるインサートDNAの作製やベクターのインバースPCRにはPrimeSTAR Max DNA Polymerase(製品コード R045A/B)やTaKaRa Ex Premier DNA Polymerase(製品コード RR370A/B、RR371A/B)のご使用をおすすめします。
保存
638947、638948、638949、638943、638944:−20℃
638951、638952
competent cells:−80℃
その他のコンポーネント:−20℃