pLVSIN Vectorは、SIN型(自己不活性型)のレンチウイルスベクタープラスミドである。本製品と新しく開発した
Lentiviral High Titer Packaging Mix(製品コード 6194)を組み合わせて用いることで、パントロピックなVSV-Gシュードタイプの組換えレンチウイルスを高力価で調製することができ、初代培養細胞、非分裂細胞を含むほぼすべての哺乳類細胞に遺伝子導入が可能となる。(図1)
pLVSIN-CMV Vectorではマルチクローニングサイトに挿入した目的遺伝子がCMVプロモーターにより発現する。PGKプロモーターの下流には薬剤耐性遺伝子(ネオマイシン耐性、ハイグロマイシン耐性、またはピューロマイシン耐性)が搭載されており、安定発現株の選択に利用できる。
また、mRNAを安定化するWPRE(woodchuck hepatitis virus post-transcriptional regulatory element)配列、ウイルスゲノムの核移行や宿主染色体への組換え効率を高めるcPPT(central polypurine tract)配列なども含まれ、高力価レンチウイルスの産生および導入遺伝子の高発現に寄与している。
pLVSIN-EF1α Vectorは、CMVプロモーターに替えて、ヒトポリペプチド鎖伸長因子遺伝子プロモーター(EF1αプロモーター)を搭載しており、CMVプロモーターで発現レベルが低い場合や、胚性幹細胞のようにプロモーターがサイレンシングを受ける場合に有用である(図2)。
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A)初代ヒト腸筋線維芽細胞への感染
・90 倍希釈したレンチウイルス(MOI=12.4)を感染
・感染5日後:ZsGreen1 陽性率69.2%
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B)ヒトアストロサイトへの感染
・270倍希釈したレンチウイルス(MOI=4.3)を感染
・感染3日後:ZsGreen1 陽性率95.7%
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C)ラット脳皮質アストロサイトへの感染
・270倍希釈したレンチウイルス(MOI=4.3)を感染
・感染3日後:ZsGreen1 陽性率90.6%
図1.初代ヒト腸筋線維芽細胞への感染
ZsGreen1遺伝子を挿入したpLVSIN-CMV Pur VectorとLentiviral High Titer Packaging Mixを組み合わせて取得したZsGreen1発現レンチウイルスベクター上清を、各標的細胞への感染に使用した。感染にはRetroNectinを使用し、RBV-Spin法で行った。
この組み合わせで得たレンチウイルス上清は、多くの場合、濃縮しないで直接、標的細胞への感染に使用できる。
図2. EF1αプロモーターとCMVプロモーターの発現強度の比較(1 copy/cellでの相対値)
ZsGreen1遺伝子を挿入したpLVSIN-CMV PurまたはpLVSIN-EF1α Purベクターと、クロンテックLenti-X HTX Packaging System、Lenti-X 293T細胞を用いて組換えレンチウイルスを調製した。ウイルス上清の段階希釈液を用い、ポリブレン法、あるいはRetroNectin法で各細胞への感染を行い、2~3日後にフローサイトメーターを用いて遺伝子導入効率ならびにZsGreen1発現強度を測定した。遺伝子導入効率が20%以下のサンプルをsingle copy導入細胞とみなし、CMVプロモーターとEF1αプロモーターの発現強度を比較した。グラフではCMVプロモーターの発現強度を1とした場合の相対値を示している。