製品説明
Pyrophosphatase (inorganic), HQは、ヒトまたは動物由来原料およびβラクタム系化合物を最終組成液に含まないHigh Quality(HQ)グレード試薬(研究用)です。本酵素は、非臨床試験用の医薬品原薬の調製やGMPガイドラインに準拠する医薬品の製造プロセスの開発、RNA医薬開発等の基礎研究に利用可能な製品です。
品質グレードとは?(RUO/HQ/GMP)
本酵素はPyrophosphatase (inorganic)(製品コード 2450A)と同等の性能を有しており、無機ピロリン酸(PPi)の加水分解を触媒してオルトリン酸を生成します
*。したがって、RNAやDNAの合成反応で生じるピロリン酸を分解することで、合成反応を促進することが可能です。
in vitro transcription(IVT)反応においてT7 RNA Polymerase, HQ(製品コード 2542A)と併用した場合、高品質のRNAを大量に調製できるため、RNA医薬分野の研究開発での利用に適しています。
* 核酸合成反応中に生じる無機ピロリン酸inorganic pyrophosphate(=PPi)は、IVT反応液中の
Polymerase の補因子であるMg2+と反応して沈殿物を生じ、合成反応を低下させてしまいます。Pyrophosphatase (inorganic) (=IPP)は、PPiを分解してオルトリン酸(H
3PO
4)とすることで、Polymerase活性に関わるMg
2+の沈殿を防ぎ、合成反応を促進します。
(弊社比較データ)
図1.RNA合成収量(IPP添加あり/なしでの比較)
Firefly Luciferase (FLuc) mRNAをコードするDNA(
製品コード 6144;構成品のPositive Control Template (FLuc))を
in vitro transcription(IVT)の鋳型に用いて、Pyrophosphatase (inorganic), HQ(以下IPP)の添加あり/なしによるIVTのRNA合成収量への影響を確認した。IVT反応におけるRNA合成酵素として
T7 RNA Polymerase, HQ(製品コード 2542A)を採用し、Cap付与型のmRNA合成時にはCapアナログ:CleanCap Reagent AG (3' OMe)(TriLink社)を使用した。IVT反応系へのIPP添加量は、終濃度として0.005 U/μlもしくは0.01 U/μlとなるように調製した。
結果として、Capあり/なしにかかわらず、IPPの添加によって2倍程度高いRNA合成収量を得られることが示された。
使用例(20 μl反応系)はこちら 用途
<医薬品原料開発>
非臨床試験用mRNA原薬の調製
RNA医薬のプロセス開発
<基礎研究>
in vitro transcription反応におけるRNA収量の向上
DNA増幅反応の促進
品質
本製品の最終組成液には、ヒトまたは動物由来成分、およびβラクタム系化合物は含まれません。
内容
Pyrophosphatase (inorganic), HQ (1 U/μl) 1,000 U
保存
-20℃
濃度
1 U/μl
起源
Escherichia coli carrying a plasmid containing the gene for Saccharomyces cerevisiae (yeast) inorganic pyrophosphatase
一般的性質
質量:約66 kDa(ホモダイマー)
補因子:Mg2+
活性の定義
25℃において、無機ピロリン酸から1分間に1 μmolのリン酸を生成する酵素量を1 Uとする。
活性測定用反応液組成
100 mM Tris-HCl(pH7.2)
2 mM MgCl2
2 mM inorganic pyrophosphate(PPi)
品質管理データ
注意事項
本酵素の激しい攪拌は行わないでください。
使用例
T7 RNA Polymerase, HQ(製品コード 2542A)を用いた場合の使用例を以下に示す。
37℃で1~2時間インキュベーションする。
* T7 RNA Polymerase, HQ(製品コード 2542A)のコンポーネント